電気料金の高騰が続く2026年、家計を守るための切り札として注目されているのが「HEMS(ヘムス)」です。名前は聞いたことがあっても、「難しそう」「本当に安くなるの?」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では2026年2月時点の最新情報を踏まえ、HEMSの基礎知識から導入のメリット、国が進める補助金制度まで、初心者の方にもやさしく解説します。
HEMS(ヘムス)とは?

HEMSとは「Home Energy Management System(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)」の略称で、いわば「家庭のエネルギー管理の司令塔」です。家の中で使う電気やガスの使用量をリアルタイムで把握し、さらに家電や設備を自動でコントロールすることで、賢く効率的な省エネを実現します。
家庭のエネルギーを「見える化」する賢い頭脳
HEMSの最も基本的な機能は、エネルギーの「見える化」です。これまでの電気料金は、月に一度の請求書を見るまで「どこでどれだけ使ったか」が分かりませんでした。しかし、HEMSを導入すると、リビングのモニターやスマホから「今、エアコンがこれだけ電気を使っている」「太陽光パネルがこれだけ発電している」といった情報をグラフで確認できます。
家電や設備を「自動でコントロール」する司令塔
見える化の次に行うのが、エネルギーの「自動制御」です。例えば、電気料金が高い時間帯には自動でエアコンの設定温度を調整したり、太陽光発電の余剰電力がある時に合わせてエコキュート(給湯器)を稼働させたりします。人間がいちいちスイッチを操作しなくても、システムが最も経済的な判断をしてくれるのが大きな特徴です。
参考:日本電機工業会
HEMSの導入目的は?
なぜ今、これほどまでにHEMSが推奨されているのでしょうか。それは、個人の節約だけでなく、日本という国全体が抱えるエネルギー課題を解決するために不可欠な存在だからです。
2050年カーボンニュートラルと脱炭素社会の実現
日本政府は「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする(カーボンニュートラル)」という目標を掲げています。この達成には、家庭部門での大幅な省エネと再生可能エネルギーの活用が欠かせません。HEMSは、家中のエネルギー消費を最小限に抑えつつ、太陽光などのクリーンな電気を無駄なく使うための「インフラ」として位置づけられています。
2030年までの「全世帯設置」を目指す国のロードマップ
国は2030年までに、全ての住宅にHEMSを設置することを目指しています。これに伴い、新築住宅の省エネ基準は段階的に引き上げられており、2026年現在では「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の水準が事実上の標準となりつつあります。将来的には、HEMSを通じて地域全体の電力量を調整する「スマートグリッド」への参加も想定されており、社会全体で電気を融通し合う仕組み作りが進んでいます。
HEMSのメリットは?
HEMSを導入する最大のメリットは、意識せずとも「勝手に光熱費が安くなる仕組み」が作れる点にあります。従来の住宅では難しかった緻密なエネルギー管理が可能になります。
電気料金のムダを省き「光熱費」を賢く節約
HEMSを導入すると、家庭内の「電気の無駄遣い」が浮き彫りになります。例えば、待機電力が大きい家電を特定したり、家族が節電を意識したりすることで、統計的には導入前より約10%程度の省エネ効果があるとされています。2026年現在の高い電気代単価を考えると、この10%の削減が年間で数万円の大きな差となって家計に跳ね返ってきます。
太陽光発電や蓄電池との連携で「エネルギーの自給自足」
再生可能エネルギー(太陽光発電)を導入している家庭にとって、HEMSは最強のパートナーです。売電価格が下がっている昨今では、作った電気は「売る」よりも「自分で使う」ほうがお得です。HEMSは翌日の天気予報をチェックし、晴れなら夜間の充電を控え、昼間の太陽光で蓄電池やエコキュートを動かすといった高度な判断を自動で行います。これにより、災害時の停電対策と日常の節約を両立できます。
HEMSのデメリットは?
メリットが多いHEMSですが、導入を検討する際には、コストや互換性といった現実的なハードルについても正しく理解しておく必要があります。
導入にかかる初期費用と通信環境の整備
HEMSを導入するには、専用のコントローラーや計測ユニットの購入、設置工事費がかかります。システム一式で10万円〜20万円程度の費用が必要になることが多く、これに加えてスマート家電の購入費用も考慮しなければなりません。また、家中にWi-Fiなどの通信環境が整っていることが前提となるため、機械が苦手な方にとってはセットアップが少し煩雑に感じるかもしれません。
家電の買い替えが必要になる「対応機器」の制約
全ての家電がHEMSで操作できるわけではありません。HEMSと通信するためには「ECHONET Lite(エコーネットライト)」という共通規格に対応した家電である必要があります。古いエアコンや照明をそのまま使いたい場合、HEMSの恩恵をフルに受けることができず、結果として「見える化」だけで終わってしまう可能性があるため、家電の買い替えタイミングと合わせて検討するのが理想的です。
住宅メーカーが提供するHEMS

現在、多くの住宅メーカーがHEMSを標準装備、あるいは推奨オプションとして展開しています。メーカーごとに強みが異なるため、代表的な例を紹介します。
パナソニックの「AiSEG2」:国内シェアトップクラスの多機能モデル
住宅設備メーカーの雄であるパナソニックが提供する「AiSEG2(アイセグ2)」は、非常に多くの家電や住設機器と繋がることが強みです。エアコン、照明、給湯器だけでなく、電気自動車(EV)の充電器やシャッターの開閉まで一括管理できます。操作画面が見やすく、スマホアプリの使い勝手も良いため、初めてHEMSに触れる方々から高い支持を得ています。
積水ハウスの「スマートコモンシティ」:街全体でエネルギーを最適化
積水ハウスでは「スマートコモンシティ」を提供しており、単体の家だけでなく「街全体」でエネルギーを融通し合うスマートシティの構築にHEMSを活用しています。同社のZEH住宅では、HEMSが太陽光発電と蓄電池を高度に制御し、住む人のライフスタイルに合わせた最適なエネルギー消費を提案してくれます。デザイン性の高いオリジナルインターフェースも特徴の一つです。
HEMSを住宅に導入する方法は?
HEMSを導入するには、住まいの状況(新築か既築か)によって手順が異なります。2026年現在は、国による「みらいエコ住宅2026事業」などの補助金が活用できる大きなチャンスです。
新築時に「ZEH(ゼッチ)住宅」として一括導入する
これから家を建てる方は、HEMSを組み込んだ「ZEH仕様」で設計するのが最もスムーズです。2026年度の補助金制度(GX志向型住宅など)では、HEMSの導入が補助金の交付条件になっているケースが多く、100万円前後の高額な補助を受けられる可能性があります。設計段階から組み込むことで、配線もスッキリし、最新の対応家電を揃えやすくなります。
ZEHについては、こちらの記事も参考にして下さい。
既存の住宅に後付けでHEMSを導入する方法
今お住まいの家でも、HEMSの後付けは可能です。まずは、電力会社から提供されている「スマートメーター」が設置されているか確認しましょう(現在はほとんどの家庭で設置済みです)。次に、HEMSコントローラーと、ブレーカー部分に取り付ける計測ユニットを購入し、電気工事店に依頼して設置します。自治体によってはリフォーム向けの独自の補助金を設けている場合もあるので、お住まいの地域のHPを確認することをおすすめします。
まとめ
HEMSは、電気代を「見える化」して無駄を省くだけでなく、2030年の全世帯普及に向けた国の重要施策でもあります。初期費用はかかりますが、2026年現在の高額な補助金(みらいエコ住宅等)を賢く使えば、実質的な負担を抑えて導入可能です。
「何から始めればいいか分からない」という方は、まずは住宅メーカーやリフォーム業者に補助金の対象になるか相談することから始めてみませんか?


