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浮体式洋上風力発電とは?最新情報を初心者の方にもやさしく解説

浮体式洋上風力発電とは?最新情報を初心者の方にもやさしく解説 再生可能エネルギー
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浮体式洋上風力発電をご存じですか?ニュースなどでご覧になり、その独特な仕組みが気になっている方も多いでしょう。日本にも導入されて注目を集めています。

今回はそんな浮体式洋上風力発電の仕組みや将来性などを、初心者の方にもやさしく解説します。

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浮体式洋上風力発電とは?

浮体式洋上風力発電は、海上に設置する洋上風力発電の一種です。

風力発電は、生態系や自然環境の破壊につながるのではという否定的な意見も耳にしますが、浮体式洋上風力発電はそれらの影響を考慮して開発されました。普及すれば日本の電力危機の救世主になるのではないかと注目されています。

海に浮かぶ次世代の風車

浮体式洋上風力発電はその名の通り「海の上に浮かべて固定する風力発電」です。大きな「浮き」の上に風車を載せ、それを鎖やワイヤーで海底につなぎ留めて発電します。まるで海に浮かぶ巨大な釣り浮きのようなイメージです。

日本の海に適した最新技術

2026年1月現在、日本近海での導入が本格化しています。実は、これまでの風力発電は陸上や浅い海に限られていましたが、この浮体式洋上風力発電が登場したことで、水深の深い場所でも設置が可能になりました。四方を深い海に囲まれた日本にとって、まさに待望の技術と言えます。

日本初の商用プロジェクトが始動

これまでは試験的な研究が主でしたが、2026年1月、ついに長崎県五島市沖で国内初の浮体式洋上風力発電の本格的な商用運転がスタートしました。これは、私たちの家庭に届く電気が「海に浮かぶ風車」で作られる新しい時代の幕開けを意味しています。

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従来の洋上風力発電との違いは?

従来の洋上風力発電との違いは?

画像出典:オフショアウィンドファーム事業推進協会公式サイト

本項では、浮体式洋上風力発電が従来の洋上風力発電とどう違うのかを解説します。

「着床式」と「浮体式」の構造の差

従来の洋上風力発電の多くは「着床式(ちゃくしょうしき)」と呼ばれ、海底に直接土台を埋め込む方式です。一方、今回の主役である「浮体式」は、船のように海面に浮かせる方式をとっています。この「根を張るか、浮かべるか」という点が最大の違いです。

設置できる「深さ」の圧倒的な差

着床式は、工事の都合上、水深が50メートル程度の浅い海にしか設置できませんでした。しかし、浮体式は水深100メートル以上の深いエリアでも設置可能です。日本の海は急に深くなる場所が多いため、浮体式こそが日本で普及できる唯一の切り札と言われています。

岸からの距離と見え方の違い

着床式は浅瀬に作るため、どうしても海岸の近くに並びがちで、景観への影響が議論されることもありました。浮体式は沖合の遠く深い海に設置できるため、陸からはほとんど見えず、私たちの生活圏への騒音や景観の影響を最小限に抑えられるのが特徴です。

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浮体式洋上風力発電のメリット

浮体式洋上風力発電には、従来の風力発電のイメージを一新させるような魅力が秘められています。

日本を「エネルギー大国」に変える可能性

日本は陸地の面積は小さいですが、領海と排他的経済水域(EEZ)を合わせた広さは世界第6位の「海洋大国」です。浮体式を活用すれば、この広大な海すべてが発電所に変わります。エネルギー自給率の向上に大きく貢献する、最強のメリットと言えます。

陸上よりも「安定して強い風」が得られる

風力発電の弱点は風のムラですが、遮るもののない沖合では、陸上よりも強くて安定した風が吹いています。浮体式はこの「質の良い風」を効率よくキャッチできるため、24時間365日、より多くの電気を安定して生み出すことが可能です。

環境への負荷が少なく、騒音トラブルも回避

陸上の風車で課題となっていた「低周波音」や「景観」の問題も、数キロ〜数十キロ沖合に設置する浮体式なら解消されます。また、人工の浮体が魚の住処(魚礁)になる効果も確認されており、海の生態系を守りながら共存できる点も大きな魅力です。

参考:長崎大学公式サイト

浮体式洋上風力発電の課題

浮体式洋上風力発電には多くのメリットがある一方で、以下のような課題も残されています。

最大の壁は「コスト」の削減

現時点での最大の課題は、建設やメンテナンスにかかる費用が高いことです。日本はまだ風力発電の構造物を製造する技術が不十分で、多くを欧州からの輸入に頼っています。さらに浮体式洋上風力発電では特殊な浮体構造物の製造や、海中での大掛かりな作業が必要なこともコストがかかる要因です。これらの理由から、コストパフォーマンスを向上させるためにはさらなる技術革新が求められます。

台風や荒波に耐える「安全性」

日本は「台風大国」でもあります。巨大な波や暴風にさらされても、風車が倒れたり流されたりしない強靭な耐久性が欠かせません。また、安定して電力供給するには万が一の故障時にすぐ修理に向かえる体制の構築も不可欠です。2026年現在、より低価格で頑丈な日本独自の浮体構造の開発が急ピッチで進んでいます。洋上風力発電の専用メンテナンス船も開発され始めています。

漁業との共生と送電網の整備

海を仕事場にする漁師さんたちとの合意形成も重要です。また、沖合で作った電気を陸地まで届ける「海底ケーブル」の整備には膨大なコストがかかります。これらを解決するには、国が主体となってルールを作り、2025年に成立した改正法(EEZでの設置解禁)などを活用して国全体で取り組む必要があります。また、開発中ではありますが、充電設備を備えた大型船舶によって電力を陸地まで輸送するシステムも計画され始めています。

参考:J-POWER公式サイト

国内初の浮体式洋上風力発電

国内では初めての浮体式洋上風力発電として稼働した五島洋上ウィンドファームについて紹介します。

長崎県五島市「五島洋上ウィンドファーム」

2026年1月5日、長崎県五島市沖で国内初となる商用浮体式洋上風力発電所が運転を開始しました。合計8基の巨大な風車が並ぶ姿は圧巻で、一般家庭約数千世帯分の電力を賄う能力を持っています。日本の浮体式洋上風力発電のスタートとして世界からも注目されています。

参考:戸田建設公式サイト

「ハイブリッドスパー型」という最新技術

五島洋上ウィンドファームでは、上部が鋼鉄、下部がコンクリートで作られた「ハイブリッドスパー型」という日本独自の技術が採用されています。重心を低くすることで、激しい波の中でも驚くほど安定して浮かび続けることができ、コスト削減にも寄与しています。

地域と連携した新しいエネルギーの形

五島市では、発電した電気を地元の企業や家庭で優先的に使う「エネルギーの地産地消」を目指しています。風車が観光資源になったり、漁業との共生実証が行われたりと、単なる発電所ではなく、地域を活性化させる新しいシンボルとして期待されています。

エネルギーの地産地消については、こちらの記事も参考にして下さい。

まとめ

浮体式洋上風力発電は、周囲を広い海に囲まれた日本が「カーボンニュートラル」を実現するための大きな一手です。2026年1月の五島市沖での稼働を皮切りに、今後はさらに広い海域への拡大が予定されています。

コストや技術的な課題はまだありますが、日本の企業が量産体制に入り、国も法整備を整えるなど、普及への準備は着実に整ってきています。日本の空気がもっと美しくなり、常に安定した電気が届く。そんな未来のために、浮体式洋上風力発電に期待しましょう。

参考・引用リンク:

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