近年、電気料金の高騰が問題になっていますが、「なぜこんなに高いの?」「いつになったら安くなるの?」と不満を抱えている方も多いでしょう。本記事では、電気料金が高騰している理由と節約方法を、電気が苦手な方にもやさしく解説します。
なぜ電気料金が高い?
毎月の請求書を見て「また電気料金が高い!」とため息をついていませんか?家計を圧迫する電気代ですが、実は私たちがたくさん電気を使っているからだけではありません。実は電気料金が高騰している背景には、複雑な世界情勢や日本の電力事情、そして国が定めた制度が絡み合っています。まずは、なぜ今電気が高いのか、その大きな理由をざっくりと解説します。
世界情勢の不安定化による影響
電気料金の高騰は、世界中の政治的・経済的な混乱が大きく関連しています。
日本は、電気を作るためのエネルギー資源(燃料)のほとんどを海外からの輸入に頼っているため、国際的な出来事の悪影響をダイレクトに受けてしまうからです。
具体的には、ウクライナ情勢や中東地域での紛争の緊迫化により、世界的にエネルギー供給への不安が高まり、各国で「燃料の奪い合い」が起きていることです。燃料を確保しようとする国が増えれば、当然その仕入れ価格は上昇します。
その結果、発電にかかるコストが跳ね上がり、私たちの家の電気料金として直接反映されてしまうのです。
円安による輸入コストの増加
長引く「円安」の傾向も、電気料金が高い状態が続く大きな要因となっています。
燃料を海外から買い付ける際、円の価値が下がっていると、これまでと同じ量の燃料を買うためにより多くの日本円を支払う必要があるからです。
たとえば、同じ量の天然ガスを買うにしても、1ドル110円の時代と150円の時代では、輸入企業が支払う日本円の額に大きな差が出ます。海外の燃料価格自体が上がっているところに、この円安のダメージが二重で重なっています。
この為替の変動による仕入れコストの爆発的な増加が、そのまま電力会社の負担となり、ひいては家計の負担に直結しているのです。
国が導入した再エネ賦課金制度
国が定めた環境政策に基づく「再エネ賦課金」という制度も、電気料金を押し上げています。
太陽光や風力などのクリーンな再生可能エネルギーを日本に普及させるため、電力会社がそれらの電気を買い取る費用を、毎月「国民全員で少しずつ負担する」という仕組みになっているからです。
毎月の検針票やWeb明細を見ていただくと「再生可能エネルギー発電促進賦課金」という項目があるはずです。この単価は国が毎年見直しており、再エネ設備が増えれば増えるほど、私たちの負担額も少しずつ大きくなる傾向にあります。
地球環境を守り、未来のエネルギーを育てるための大切な制度ではありますが、現実として日々の電気料金を高くしている一因となっています。
電気料金のおもな内訳は?
「電気料金が高い」と感じたら、まずは明細書(検針票)の内訳を見てみましょう。電気料金は使った分の単なる「電気代」だけではなく、主に4つの要素から計算されています。近年の値上がりの原因は、この内訳のなかの特定の項目が急激に変動しているためです。ここでは、電気料金がどのような仕組みで請求されているのか、その基本構造と値上がりの原因を詳しく解説します。
基本料金と電力量料金
電気料金のベースとなるのは、昔から変わらない「基本料金」と「電力量料金」です。
電気を自宅に引いておくための固定費と、実際に使った量に応じた変動費に分かれているからです。
「基本料金」は、契約しているアンペア数(同時に使える電気の量)に応じて決まり、電気をまったく使わなくても毎月必ず発生します。「電力量料金」は、「1kWhあたり〇円」と単価が決められており、エアコンやテレビを使えば使うほど加算されます。
ここは最も基本的な部分ですが、燃料費の高騰に耐えきれなくなった電力会社が、この「基本料金」や「電力量料金の単価」そのものを値上げしたことも、電気料金が高くなった理由です。
燃料費調整額の仕組みと高騰の理由
近年の「電気料金が異常に高い!」という事態を招いた最大の原因が、この「燃料費調整額」です。
これは、発電に使う燃料(液化天然ガスや石炭など)の輸入価格の変動を、毎月の電気料金に反映(調整)させるための仕組みだからです。
本来、燃料の価格が安くなれば電気料金からマイナス(割引)される制度ですが、現在は世界情勢や円安の影響で燃料価格が異常に高い水準にあるため、大幅なプラス(加算)となっています。たとえば、電気を大切に節約して使用量を減らしても、この調整額のプラス幅が大きければ、トータルの請求額は跳ね上がってしまいます。
自分が電気をどう使うかに関わらず、世界の燃料価格の波をダイレクトに受けてしまうのが、この燃料費調整額の恐ろしいところです。
再生可能エネルギー発電促進賦課金
もう一つの見逃せない値上がり要因が、先ほども解説した「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」です。
先述した通り、再エネの導入を支えるために、電気を使うすべての人が使用量に応じて負担するお金だからです。
この金額は「1kWhあたり〇円×月の使用量」で計算されます。つまり、家族が多くて電気をたくさん使う家庭ほど、負担額も大きくなる仕組みです。2012年の制度開始当初はごくわずかな金額でしたが、再エネの普及に伴って徐々に単価が上がり、家計への影響も無視できないレベルになっています。
毎月必ずかかってくるコストであり、使えば使うほど加算されるため、電気料金の底上げ要因としてしっかり認識しておく必要があります。
電気料金の高騰は化石燃料のせい?
日本の電気料金が高い理由を深掘りしていくと、「化石燃料」というキーワードに行き着きます。私たちが毎日便利に電気を使える裏側では、火力発電所がフル稼働しています。結論から言うと、日本が電気を作るためのエネルギー源を化石燃料に大きく依存していることが、現在の家計を直撃する電気料金高騰の根本的な原因なのです。なぜ化石燃料に頼ると高くなるのか、その理由を詳しく見ていきましょう。
日本のエネルギー自給率の低さ
電気料金が高騰しやすい最大の根本理由は、日本が化石燃料のほぼすべてを海外からの輸入に頼らざるを得ないからです。
日本のエネルギー自給率(自分たちの国で必要なエネルギーを賄える割合)は約10%強と、他の先進国と比べても非常に低い水準にあります。
日本の発電の約7割は火力発電が担っています。しかし、その火力発電で燃やすための「液化天然ガス(LNG)」「石炭」「石油」といった化石燃料は、日本国内ではほとんど採れず、実に99%以上を輸入に依存しています。
この「自分たちで燃料を用意できない」という弱点があるため、海外の市場価格の変動の影響をそのまま受けてしまう脆弱な構造になっているのです。
液化天然ガス(LNG)価格の変動
特に「液化天然ガス(LNG)」の価格高騰が、日本の電気料金に最も深刻な影響を与えています。
現在の日本の火力発電において、もっとも高い割合で使われているメインの燃料がこのLNGだからです。
アジアを中心とした新興国の経済成長によってエネルギー需要が爆発的に増加していることに加え、欧州がロシア産のエネルギーから脱却する動きを見せたことで、世界中でクリーンな化石燃料であるLNGの争奪戦が起きています。
買い手が圧倒的に多くなることで価格が跳ね上がり、頼みの綱であるLNGが高騰したことが、そのまま日本の電気料金の急激な上昇として跳ね返ってきているのです。
地政学的リスクとサプライチェーンの問題
世界各地で起きる紛争などの「地政学的リスク」も、化石燃料の価格を不安定にし、高騰させています。
燃料を採掘し、船で日本まで運んでくるルート(サプライチェーン)に危険が及ぶと、安定した輸入が脅かされてコストが増加するからです。
中東地域などで紛争が激化すれば、重要な輸送ルートである海峡の通行が難しくなります。安全な別ルートへの迂回を余儀なくされれば、輸送にかかる時間も燃料代もかさみ、さらにタンカーの保険料なども跳ね上がります。
日本のように、遠く離れた国から海路で延々と燃料を運ばざるを得ない国にとって、世界の平和と安定は、電気料金を安く保つための生命線なのです。
再エネと化石燃料のどちらが良い?
化石燃料に頼ると電気料金が高くなるなら「すべて太陽光や風力などの再生可能エネルギー(再エネ)にすればいいのでは?」と思うかもしれません。しかし、現実はそう簡単ではありません。再エネと化石燃料にはそれぞれ一長一短があり、どちらか一方だけで日本の電力を支えるのは困難です。ここでは、再エネの導入が無駄なのか、それとも必要なのか、それぞれのメリットと課題を比較しながら検証します。
化石燃料のメリットと限界
化石燃料を使った火力発電の強みは、時間や天候に関係なく「安定して大量の電気を作れること」です。
燃料さえ燃やせば発電量を人間の手で自由にコントロールできるため、私たちの生活の需要の変化に柔軟に対応できるからです。
夏の猛暑日でエアコンが一斉に使われる昼間や、冬の極寒の夜など、電力が急激に必要になった際も、火力発電所の出力を上げることで大規模な停電を防ぐことができます。これは「いつでも電気のスイッチがつく生活」を守る上で欠かせない役割です。
しかし、CO2(二酸化炭素)を大量に排出して地球温暖化を加速させてしまう点や、輸入頼みで燃料価格が乱高下し家計を圧迫するリスクがあるという、構造的な大きな限界を抱えています。
再生可能エネルギーの課題
一方で、太陽光や風力といった再生可能エネルギーにも「発電量の不安定さ」という大きな課題があります。
これらは自然の力に頼っているため、太陽光は夜間や雨の日は発電できず、風力は風が吹かなければピタリと止まってしまうからです。
もし化石燃料をやめて再エネだけに頼った場合、天候が悪く発電できない日が続けば、工場が止まったり家庭が停電したりする恐れがあります。余った電気を貯めておくための巨大な蓄電池を全国に整備するという手もありますが、それには天文学的なコストがかかり、かえって電気料金が高くなってしまいます。
CO2を出さず、国内で調達できる純国産エネルギーであることは素晴らしいですが、安定供給の面ではまだ化石燃料のサポートが不可欠なのが現状です。
ベストミックスという考え方の必要性
結論として、再エネの導入は決して無駄ではなく、化石燃料と組み合わせた「エネルギーミックス(ベストミックス)」が最も現実的で重要です。
両者の弱点を補い合いながら、電気の「安定供給」「経済性(安さ)」「環境への配慮」を同時に達成するためです。
普段は、燃料費がゼロでCO2を出さない再エネを最大限活用して電気料金のベースを下げます。そして、天候が悪くて再エネが足りない時や、夜間に需要が増えた時は、コントロールしやすい火力発電などでピンポイントに補うという運用です。
将来的に家計への負担を減らすためにも、再エネの技術革新を進めてエネルギー自給率を上げつつ、過渡期として化石燃料を賢くバランス良く使っていくことが求められています。
また、近年では地熱発電や海洋エネルギーなどの新技術の開発も進められており、それらが本格的に導入されれば、CO2の排出が非常に少ないうえに、自給自足できる理想的なベース電源として火力発電の代わりになることが期待されています。
海洋エネルギーについては、こちらの記事も参考にして下さい。
個人でできる電気料金の節約は?
「世界情勢や国の仕組みのせいなら、結局どうしようもないの?」と諦める必要はありません。家計を守るために、私たち個人が工夫して節約できる部分はまだまだたくさんあります。電気料金が高い今だからこそ、無理なく続けられる効果的な節約術を知ることが大切です。ここでは、忙しい方でもすぐに実践できる、節約効果の高い方法を厳選して詳しく丁寧に紹介します。
電力会社や料金プランの乗り換え
まず最初に見直すべきは、現在契約している「電力会社」や「料金プラン」の変更です。これだけで年間数千円〜数万円安くなる可能性があります。
2016年の「電力自由化」以降、様々な企業が独自のプランで電気の販売に参入しており、ライフスタイルに合ったプランを選ぶだけで、基本料金や電力量料金の単価がガクッと下がる仕組みになっているからです。
例えば、共働きで日中は家に誰もいない家庭なら「夜間の電気代が安くなるプラン」を選ぶのがお得です。また、契約している携帯電話のキャリアや、ガス会社と同じ系列の電力会社でセット契約をすることで、毎月セット割引を受けられることも多いです。
「手続きが面倒」と思うかもしれませんが、今の時代はスマートフォンから過去の検針票(使用量)のデータを入力するだけで、どのくらい安くなるか一発でシミュレーションができ、切り替え手続きもネットで完結します。まずは比較サイトで検討することから始めてみましょう。
家電の省エネな使い方をマスターする
家庭の電気使用量の大部分を占める「エアコン」「冷蔵庫」「照明」の使い方を少し見直すだけで、大きな節約効果が期待できます。
資源エネルギー庁のデータによれば、この3つの家電だけで家庭の電力消費の半分以上を占めているため、ここをテコ入れするのが最も効率的だからです。
具体的には、以下のような方法があります。
- エアコン: 設定温度を夏は28℃、冬は20℃を目安にします。月に2回フィルターを掃除するだけで、冷暖房効率が上がり年間数千円の節約になります。また、30分程度のちょっとした外出なら、こまめに消すよりも「つけっぱなし」の方が、再起動時の消費電力を抑えられます。
- 冷蔵庫: 季節に合わせて設定温度を「強」から「中」などに変更しましょう。また、壁から少し離して設置することで放熱効率が上がり、余分な電気を使いません。食材の詰めすぎも冷気が循環しなくなるのでNGです。
- 照明: 使っていない部屋の電気はこまめに消す、という基本を徹底するだけでも効果があります。
日々のこうした少しの工夫や心がけが、1年間積み重なると、無視できない家計のゆとりに繋がります。
古い家電を省エネ家電に買い替える
思い切って、10年以上使っているような古い家電を最新のものに買い替えるのも、結果的に非常に大きな節約になります。
家電の省エネ技術はここ数年で劇的に進化しており、新しい製品の方が圧倒的に消費電力が少なく作られているからです。
特に24時間365日稼働している「冷蔵庫」や、消費電力の大きい「エアコン」、そして「照明器具(蛍光灯からLEDへの交換)」はその効果が顕著に表れます。環境省などのデータによれば、10年前の古い冷蔵庫を最新型の省エネモデルにするだけで、年間の電気代が半分近く(数千円〜1万円程度)安くなるケースも珍しくありません。LED照明に至っては、白熱電球と比べて約80%も消費電力を削減できます。
買い替えには初期費用がかかりますが、電気料金が高い状態が今後も続くことを考えれば、数年で元が取れる賢い投資と言えます。自治体によっては省エネ家電への買い替えに補助金やポイントを出しているところもあるので、ぜひお住まいの地域の制度を確認してみてください。
待機電力を減らし、断熱効果を高める
さらに一歩進んだ節約術として、「待機電力のカット」と「住まいの断熱対策」を強くおすすめします。
意識していないところでコッソリ逃げている電気や熱を防ぐことで、快適さを損なわずに無駄な出費を根本から断ち切れるからです。
それぞれの詳細は以下のとおりです。
- 待機電力のカット: 使っていない家電のプラグをコンセントから抜く、またはスイッチ付きの電源タップを活用してこまめにオフにすることで、家庭の総消費電力の約5%を占めると言われる待機電力を削減できます。
- 断熱対策: エアコンの効率を劇的に上げるには、熱の出入り口となる「窓」の断熱が最も効果的です。厚手のカーテンや遮熱カーテンに変える、窓ガラスに断熱シートを貼る、サッシに隙間テープを貼るなどの簡単な100円ショップのアイテムを使ったDIYでも効果絶大です。夏は外の熱気を防ぎ、冬は暖まった空気を逃がしません。
「電気を使わない仕組み」「熱を逃がさない仕組み」を家の中に作ってしまうことが、我慢を伴わない最もストレスフリーな節約術です。
まとめ
なぜ電気料金が高いのか、その理由と節約術について解説しました。電気料金の高騰は、化石燃料への依存や世界情勢の悪化、円安など様々な要因が複雑に絡み合っており、すぐに以前のような安さに戻るのは難しいのが現状です。だからこそ、家計を守るためには、電力会社の見直しや省エネ家電への買い替え、断熱対策など、個人でできる対策を実践していくことが大切です。無理のない範囲で、今日からできる節約を始めてみませんか?
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