バイナリー発電は、再生可能エネルギーの切り札として注目されています。バイナリー発電が現在の日本でどのくらい稼働しているのか、気になる方も多いのではないでしょうか。この記事では、現在日本で運転されているバイナリー方式の地熱発電所を紹介します。
バイナリー発電とは？
まずは、バイナリー発電とはどういうものかを簡単におさらいしておきましょう。
普通の地熱発電では、地下の熱でできた蒸気を直接タービン（羽根車）に当てて回し、電気を作ります。しかし、バイナリー発電では蒸気ではなく、お湯（熱水）を使うのが特徴です。
バイナリー発電の「バイナリー（binary）」とは「2つのものを受け取る」という意味です。 つまり、バイナリー発電では2種類の液体を使います。 まず、地下からくみ上げた熱水で、別の液体（例えば、沸点が低いフロンのような液体）を温めます。 この液体は水よりも低い温度で蒸発するので、くみ上げられた熱水の熱によってすぐに蒸気になります。
バイナリー発電の利点は、比較的低い温度（100℃前後）の熱水でも発電できることです。 通常の地熱発電では200℃の蒸気が必要ですが、バイナリー発電なら100℃程度のお湯でも使えます。小規模な地熱発電所や温泉地でも活用できるので、環境に優しいエネルギー源として注目されています。
地熱発電の中でも、バイナリー発電だけが国から「新エネルギー」と指定されて、普及が促進されているのです。
バイナリー発電の基礎知識については、こちらの記事も参考にして下さい。
それでは早速、現在日本で運転されているバイナリー発電を紹介しましょう。
森バイナリー発電所
出典：北海道電力
森バイナリー発電所は北海道茅部郡森町に位置し、北海道電力株式会社・JFEエンジニアリング株式会社・東京センチュリー株式会社の3社が共同で設立した「森バイナリーパワー合同会社」によって運営されています。
発電所の建設は2022年8月に開始され、2023年11月24日に営業運転を開始しました。発電方式は空冷式バイナリー発電方式で、出力規模は2,000kWです。
森バイナリー発電所は、地域の農業とも密接に連携しています。発電後の熱水の一部は、農業用ハウスの暖房用熱源として地元の農家に提供され、トマトやキュウリなどの栽培に活用されています。地域経済の活性化と環境負荷の軽減の両立が実現されている発電所です。
森バイナリー発電所の概要
| 運営会社名 | 森バイナリーパワー合同会社 |
| 所在地 | 北海道茅部郡森町濁川 |
| 設立 | 2023年11月24日 |
| 設備容量 | 2,000kW |
| 発電方式 | 空冷式バイナリー発電方式 |
| 公式サイトURL | https://www.hepco.co.jp/energy/recyclable_energy/geothermal_power/mori_binary_ps.html |
南茅部地熱発電所
出典：オリックス株式会社
2024年5月、北海道函館市南茅部地域で、バイナリー発電で国内最大級の規模を誇る「南茅部地熱発電所」が運転を開始しました。 出力は6,500kWで、年間最大約5,694万kW時の電力を生み出します。これは一般家庭約13,600世帯分の電力消費量に相当します。
また、地下から熱水をくみ上げるために「ラインシャフト式ダウンホールポンプ」という日本初導入の技術を使用しています。
このポンプは地上に設置されたモーターで地下のプロペラを回し、熱水を効率的にくみ上げることが可能です。
環境への配慮も行われており、取り出した熱水はすべて地下に戻し、水資源の循環を保っています。 さらに、発電所周辺の森林整備も行い、地域と協力して環境保全に努めています。
このように、南茅部地熱発電所は自然の力を活用し、環境に優しい電力を供給する施設として注目されています。
南茅部地熱発電所の概要
| 運営会社名 | ORジオ南茅部株式会社 |
| 所在地 | 北海道函館市臼尻町 |
| 設立 | 2024年5月 |
| 設備容量 | 6,500kW(6.5MW) |
| 公式サイトURL | https://www.orix.co.jp/grp/business/geothermal_power.html |
土湯温泉16号源泉バイナリー発電所
出典：株式会社元気アップつちゆ
土湯温泉16号源泉バイナリー発電所は、福島県福島市土湯温泉町に位置する地熱発電所です。 2015年11月に運転を開始し、地元の温泉協同組合である湯遊つちゆ温泉協同組合が中心となって設立した「つちゆ温泉エナジー株式会社」が運営しています。
土湯温泉16号源泉から得られる約139℃の高温の温泉水を利用して発電しており、発電出力は約400kWです。年間約300万kWhの電力を供給しますが、これは一般家庭約500軒分の電力消費量に相当します。
発電に使用した温泉水は、その後、温泉街の旅館へ供給され、地域の温泉施設資源として再利用されています。 さらに、発電時に排熱を活用し、オニテナガエビの養殖など新たな事業にも取り組んでおり、地域活性化と持続可能なエネルギー利用のモデルケースの1つです。東日本大震災後の復興の成功例としても評価されています。
土湯温泉16号源泉バイナリー発電所の概要
| 運営会社名 | つちゆ温泉エナジー株式会社 |
| 所在地 | 福島県福島市土湯温泉町 |
| 設立 | 2015年11月20日 |
| 設備容量 | 400kW |
| 使用媒体 | ノルマルペンタン |
| 公式サイトURL | https://genkiuptcy.com/%e3%83%9b%e3%83%bc%e3%83%a0-2/%e3%83%90%e3%82%a4%e3%83%8a%e3%83%aa%e3%83%bc%e7%99%ba%e9%9b%bb%e4%ba%8b%e6%a5%ad-2/?frame-nonce=f97ee11ac9 |
奥飛騨第1バイナリー発電所
出典：シン・エナジー株式会社
奥飛騨第1バイナリー発電所は、岐阜県高山市奥飛騨温泉郷に位置する地熱発電所です。奥飛騨自然エネルギー合同会社3号泉という源泉から得られる熱水を利用し、発電を行っています。 発電後の温泉水は従来通り地域へ給湯されるため、温泉資源の有効活用と地域貢献を両立しています。
発電機は株式会社神戸製鋼所製の「MB-70H」を採用し、発電出力は49.9kWです。冷却には井戸水などを使用し、熱を回収して温泉造槽に戻すことで、熱エネルギーを無駄なく利用しています。
この取り組みは、地域の温泉資源を活用した再生可能エネルギーの導入事例として高く評価され、第7回環境省グッドライフ賞において、シン・エナジー株式会社・奥飛騨自然エネルギー合同会社・飛騨高山グリーンヒート合同会社・奥飛騨水力発電株式会社の4社で共同賞を受賞しました。
奥飛騨第1バイナリー発電所は、地域資源を活用した持続可能なエネルギー供給モデルとして、地域経済の活性化環境と保全に焦点を当てています。
奥飛騨第1バイナリー発電所の概要
| 運営会社名 | シン・エナジー株式会社 |
| 所在地 | 岐阜県高山市奥飛騨温泉郷 |
| 設立 | 2017年10月19日 |
| 設備容量 | 49.9kW |
| 公式サイトURL | https://www.symenergy.co.jp/service/area_energy/okuhida/?utm_source=chatgpt.com |
奥飛騨第2バイナリー発電所
出典：シン・エナジー株式会社
奥飛騨第2バイナリー発電所は、岐阜県高山市奥飛騨温泉郷に位置する地熱発電所です。この発電所は、奥飛騨自然エネルギー合同会社によって設置されました。 同社は、地域の温泉事業者や地元企業が取り組む「地域主導型」の会社であり、地元資源を活用した自然エネルギーの普及を目指しています。
奥飛騨第1バイナリー発電所と同様に地下から汲み上げた温泉の熱を利用して発電を行っていますが、異なる点は、2基のタービンを使用していることです。奥飛騨第1バイナリー発電所を大幅に上回る250kWの出力を実現しています。
このプロジェクトは、地域資源を活用した再生可能エネルギーの導入と地産地消を推進する取り組みの課題として注目されています。また、地域経済の活性化や雇用創出にも貢献している設備です。
奥飛騨第2バイナリー発電所の成功は、地域と企業が連携し、自然エネルギーを活用した持続可能な社会づくりのモデルケースとして評価されています。
奥飛騨第2バイナリー発電所の概要
| 運営会社名 | シン・エナジー株式会社 |
| 所在地 | 岐阜県高山市奥飛騨温泉郷 |
| 設立 | 2020年11月 |
| 設備容量 | 250kW |
| 公式サイトURL | https://www.symenergy.co.jp/service/area_energy/okuhida_2/ |
TAKENAKA奥飛騨地熱発電所
出典：株式会社竹中工務店
TAKENAKA奥飛騨地熱発電所は、岐阜県高山市奥飛騨温泉郷に位置し、竹中工務店と地元の奥飛騨宝温泉協同組合が協力して運営する地熱発電所です。2021年3月に運転を開始し、発電容量は50kW、年間約500MWhの電力を生産しています。これは一般家庭約100戸分の年間消費電力量に相当します。
運営面では、温泉協同組合が蒸気や冷却水の供給を担当し、竹中工務店が発電所の建設と運営を行う体制です。 発電所の運転管理は組合が24時間365日体制で行っており、不具合時には竹中工務店が遠隔監視でサポートする体制を整えています。
企業と地域の連携強化の取り組みが評価され、2022年度の「新エネ大賞」地域共生部門において、新エネルギー財団会長賞を受賞しました。このプロジェクトは、地域資源を活用した持続可能なエネルギー供給と地域活性化のモデルケースとして注目されています。
TAKENAKA奥飛騨地熱発電所の概要
| 運営会社名 | 竹中工務店・奥飛騨宝温泉協同組合 |
| 所在地 | 岐阜県高山市奥飛騨温泉郷 |
| 設立 | 2021年3月 |
| 設備容量 | 49.9kW |
| 公式サイトURL | https://www.takenaka.co.jp/news/2021/04/03/ |
八丁原バイナリー発電所
出典：九州電力株式会社
八丁原（はっちょうばる）バイナリー発電所は、大分県九重町（ここのえまち）にある日本最大級の地熱発電所「八丁原地熱発電所」の余熱を活用する発電施設です。
このバイナリー発電所では、地熱発電所から排出される温泉のような熱水（約120℃）を活用して発電しています。通常の地熱発電では、発電に使用した蒸気や熱水はそのまま地下に戻されますが、八丁原バイナリー発電所ではその熱水のエネルギーを地下に戻さずに再利用して発電を行っています。この仕組みにより、エネルギーの無駄を減らし、施設全体の発電効率を向上させることが可能です。
また、発電に使用した熱水は最終的に再び地下へ戻されるため、環境への影響を最小限に抑えることができます。こうした技術は、地熱資源を最大限に活用するモデルケースとして注目されており、日本の地熱発電のさらなる発展につながると期待されています。
八丁原バイナリー発電所の概要
| 運営会社名 | 九電みらいエナジー株式会社 |
| 所在地 | 大分県玖珠郡九重町 |
| 設立 | 2006年4月1日 |
| 設備容量 | 2,000kW |
| 使用媒体 | ペンタン |
| 公式サイトURL | https://www.kyuden.co.jp/press_h040218-4.html |
菅原バイナリー発電所
出典：九電みらいエナジー
菅原バイナリー発電所は、大分県九重町にある地熱を利用した大型のバイナリー発電所です。2015年6月に運転を開始しました。発電のために使う熱水は、温泉施設の営業にも影響を与えないよう、温泉の一部を利用しながら発電を行う仕組みになっています。発電後の温泉水は再び温泉として使われるため、資源を無駄にしません。
菅原バイナリー発電所の発電能力は5,000kW（5MW）です。発電した電気は九州電力に供給され、地域の電力として活用されています。
化石燃料を使わず、温泉の熱を活用することでCO₂をほとんど出さずに発電できるため、環境に優しいです。また、温泉施設と共存する形で発電を行うことで、地域の観光業にも貢献しています。
菅原バイナリー発電所は、地熱資源をうまく活用しながら、環境に配慮した持続可能なエネルギーを生み出す発電所として注目されています。
菅原バイナリー発電所の概要
| 運営会社名 | 九電みらいエナジー株式会社 |
| 所在地 | 大分県玖珠郡九重町菅原 |
| 設立 | 2015年6月29日 |
| 設備容量 | 5,000kW |
| 使用媒体 | ペンタン |
| 公式サイトURL | https://www.q-mirai.co.jp/news/archives/27%EF%BC%8C2015 |
滝上バイナリー発電所
出典：出光興産株式会社
滝上バイナリー発電所は、大分県玖珠郡九重町にある地熱発電所です。もともと1996年から稼働している滝上発電所の一部で、2017年から新しく運転を開始しました。発電できる最大の電力は5,050kWで、当時、日本で最も大きな地熱バイナリー発電所でした。
この発電所では、もともと使われずに地下に戻されていた熱水（高温のお湯）を利用して発電しています。そのおかげで、滝上地熱発電全体のエネルギー効率が約15％向上しました。しかし、130℃の熱水をさらに利用することで、「シリカスケール」と呼ばれる成分が発生しやすくなる問題や、地熱が冷めてしまう可能性がありました。これらの問題が起こらないように設備が設計され、その成果が評価されて、発電所を運営する「出光大分地熱」は2017年度の「新エネ大賞」経済産業大臣賞を受賞しました。
滝上バイナリー発電所は、出光興産グループ企業の出光大分地熱株式会社が運営しています。また、発電所の運営だけでなく、滝上発電所への蒸気の供給も行っています。ここで作られた電気は、固定価格買い取り制度（FIT）によって、同じ出光興産のグループ企業である「出光グリーンパワー」と「プレミアムグリーンパワー」に売られています。
滝上バイナリー発電所の概要
| 運営会社名 | 出光大分地熱株式会社 |
| 所在地 | 大分県玖珠郡九重町 |
| 設立 | 2017年3月1日 |
| 設備容量 | 5,050kW |
| 公式サイトURL | https://www.idemitsu.com/jp/business/geothermal/strength/index.html |
小浜温泉バイナリー発電所
出典：シン・エナジー株式会社
長崎県雲仙市にある小浜温泉バイナリー発電所は、温泉の熱を利用して発電する施設です。小浜温泉は、日本でも特に高温の温泉が湧き出る場所として知られており、その熱を活用することで発電が可能になりました。
小浜温泉バイナリー発電所の特徴は、発電に使った温泉水をそのまま温泉施設に供給できることです。つまり、温泉の熱を利用しながらも、温泉資源を無駄にしない仕組みになっています。
出力72kWの発電機を3基備えており、この発電所で作られた電気は地元の施設や電力会社に供給され、地域のエネルギー自給率向上にも貢献しています。
小浜温泉バイナリー発電所の概要
| 運営会社名 | シン・エナジー株式会社 |
| 所在地 | 長崎県雲仙市小浜町 |
| 設立 | 2013年4月7日 |
| 設備容量 | 216kW |
| 使用媒体 | フッ素化合物 HFC245fa |
| 公式サイトURL | https://symenergy.co.jp/service/area_energy/obama/ |
わいた地熱発電所の還元熱水を活用したバイナリー発電
出典：ふるさと熱電株式会社
わいた地熱発電所の還元熱水を活用したバイナリー発電は、熊本県小国町にあるわいた地熱発電所に併設されています。通常の地熱発電とバイナリー発電を併せ持つことで、より効率的に電気を作っています。
もともと、地熱発電で使われた後の還元熱水（発電に使った後に残る熱いお湯）は、そのまま地中に戻されることが一般的でした。しかし、わいた地熱発電所では、この還元熱水を有効活用することで、さらに電気を作ることに成功しました。
この発電所では、100℃以下の低温熱水でも発電できるバイナリー発電システムを導入し、地熱エネルギーを無駄なく使うことを実現しています。この仕組みによって、通常の地熱発電だけでは利用しきれなかった熱エネルギーを活用し、発電効率を向上させることができるのです。
わいた地熱発電所の還元熱水を活用したバイナリー発電の概要
| 運営会社名 | ふるさと熱電株式会社 |
| 所在地 | 熊本県小国町 |
| 設立 | 2020年4月 |
| 設備容量 | 150kW |
| 公式サイトURL | https://furusato-nd.co.jp/energy/power-plant/ |
山翠パワー地熱発電所
出典：ふるさと熱電株式会社
山翠パワー地熱発電所は、熊本県阿蘇郡小国町のわいた温泉郷にある温泉旅館「旅館山翠」が、地元企業のふるさと熱電やベースロードパワージャパンと協力して設立した地熱発電所です。
旅館が所有する1本の温泉井戸から得られる蒸気を2つに分け、2カ所の発電機に供給しています。このシステムを実現するためには、圧力のバランスを保つ設計など、高度な技術が必要とされました。ふるさと熱電やベースロードパワー、東京エネシス、バイナリー発電機メーカーのClimeonなどが協力し、これらの技術的課題を解決しました。
発電した電力は、九州電力送配電を通じて中央電力株式会社に供給され、同社が推進する「RE100対応・温泉旅館地熱発電プロジェクト」を通じて、全国の賛同する電力消費者に提供されています。
山翠パワー地熱発電所の概要
| 運営会社名 | ふるさと熱電株式会社 |
| 所在地 | 熊本県小国町 |
| 設立 | 2022年4月 |
| 設備容量 | 99kW |
| 公式サイトURL | https://furusato-nd.co.jp/energy/power-plant/ |
山川バイナリー発電所
出典：九州電力
山川バイナリー発電所は、鹿児島県指宿市にある地熱発電所です。2018年2月に運転を開始し、出力は4,990kWです。
この発電所は、九州電力が運営する山川発電所の敷地内に位置しています。山川発電所では、高温の蒸気を使って発電し、残った熱水は地下に戻していました。しかし、この熱水にもまだエネルギーが残っており、山川バイナリー発電所ではその未利用エネルギーを活用しています。
山川バイナリー発電所の特徴の一つは、地域との共生です。発電に使った後の蒸気を、近くの農家に無償で提供しています。この蒸気は、ビニールハウスの暖房などに利用され、胡蝶蘭やマンゴー、観葉植物の栽培に役立っています。
また、発電所の近くには展示室があり、地熱発電やバイナリー発電について学ぶことができます。このように、山川バイナリー発電所は、環境に優しい発電を行いながら、地域社会とも密接に連携しています。
山川バイナリー発電所の概要
| 運営会社名 | 九電みらいエナジー株式会社 |
| 所在地 | 鹿児島県指宿市山川 |
| 設立 | 2018年2月23日 |
| 設備容量 | 4,990kW |
| 発電方式 | 空冷式バイナリー発電方式 |
| 使用媒体 | ペンタン |
| 公式サイトURL | https://www.kyuden.co.jp/press_h180223b-1.html |
やまとバイナリー発電所指宿Ⅱ
出典：九州電力
やまとバイナリー発電所指宿Ⅱは、鹿児島県指宿市にある地熱発電所です。この発電所は、やまとソーラープラント株式会社が所有し、2022年12月9日に運転を開始しました。
発電能力は375kWで、これは一般家庭約750世帯分の電力をまかなうことができる電力です。この発電所は、太陽光発電設備を多数展開してきたやまとソーラープラント株式会社にとって初めての地熱バイナリー発電所であり、今まで以上に再生可能エネルギーの普及と環境保全、持続可能な社会の実現に貢献しています。
やまとバイナリー発電所指宿Ⅱの概要
| 運営会社名 | やまとソーラープラント株式会社 |
| 所在地 | 鹿児島県指宿市十町 |
| 設立 | 2022年12月9日 |
| 設備容量 | 375kW |
| 公式サイトURL | https://www.kyuden.co.jp/press_h180223b-1.html |
霧島国際ホテル 地熱バイナリー発電施設
出典：資源エネルギー庁
霧島国際ホテル 地熱バイナリー発電施設は、鹿児島県の霧島温泉郷にあるバイナリー発電所です。同ホテルでは既存の3本の温泉井を活用して、地中70～300mから地熱蒸気を取り込み、媒体であるイソペンタンを介してタービンを駆動させて発電しています。
媒体にイソペンタンを使用した事例としては、国内で初めてのバイナリー発電所で、日本のバイナリー発電の技術の進歩に大きく貢献した設備です。
霧島国際ホテル 地熱バイナリー発電施設の概要
| 運営会社名 | 大和紡観光株式会社 霧島国際ホテル |
| 所在地 | 鹿児島県霧島市牧園町 |
| 設立 | 1996年3月 |
| 設備容量 | 220kW |
| 使用媒体 | イソペンタン |
| 公式サイトURL | https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/geothermal/index.html |
その他、建設中のバイナリー発電所
霧島烏帽子岳バイナリー発電所は、鹿児島県霧島市で建設中の大型の地熱発電所です。霧島市は温泉地としても知られており、地下には豊富な熱エネルギーが存在します。2026年度末の運転開始が予定されており、完成すれば国内でもトップクラスの出力を誇るバイナリー発電所となります。地域におけるエネルギー供給の安定や再生可能エネルギーの普及、さらに地域の雇用を促進する役割も期待されています。
霧島烏帽子岳バイナリー発電所の概要
| 運営会社名 | 九電みらいエナジー株式会社 |
| 所在地 | 鹿児島県霧島市 |
| 運転開始予定 | 2026年度末 |
| 設備容量 | 4,990kW |
| 公式サイトURL | https://www.q-mirai.co.jp/files/optionallink/00000548_file.pdf?1726649974 |
まとめ
日本のバイナリー発電はまだ少数ですが、近年徐々に増えてきています。
日本は環太平洋火山帯に位置し、地熱資源が豊富で、地熱発電のポテンシャルは米国・インドネシアに次いで第3位です。地熱は古くから温泉として利用され、観光資源としても重要な役割を果たしています。
しかし、地熱発電の割合は全体の0.2%と低く、十分に活用されていません。将来的に日本のエネルギー供給が安定するかどうかは、バイナリー発電の普及にかかっていると言っても過言ではありません。
バイナリー発電が本格的に普及するためには、まだ多くの課題が残されていますが、近年では海外の技術を取り入れる動きも活発になっています。バイナリー発電の今後の技術の進歩に期待しましょう。
