最近よく耳にする環境発電という言葉。実は、私たちの身の回りにある自然の力を使って電気を作る、とても注目されている技術です。この記事では、環境発電の基本から、どんな方法があるのか、実際に取り組んでいる企業や団体、そして未来への可能性まで、わかりやすく解説します。
環境発電とは何？
画像引用：エネルギーハーベスティングコンソーシアム
環境発電とは、風や太陽、雨、熱、振動など、私たちの周りにある「自然のエネルギー」を使って電気を生み出す技術のことです。英語では「エナジーハーベスティング（Energy Harvesting）」とも呼ばれています。
たとえば、風が吹けば風力発電、太陽が照れば太陽光発電というように、普段はただ通り過ぎていく自然の力を無駄にせずに活用するのがポイントです。
このような発電方法は、地球環境にやさしく、二酸化炭素（CO₂）もほとんど出さないので、地球温暖化の対策としても期待されています。また、大きな電力ではなく、センサーや小型機器の電源として使われることが多く、電池を使わない新しい仕組みとしても注目されています。
環境発電の具体例
画像引用：エネルギーハーベスティングコンソーシアム
環境発電にはさまざまな方法があります。よく知られているのは太陽光発電と風力発電です。太陽光発電は近年増えている大型のソーラーパネル以外にも、古くから腕時計や電卓などにも使われています。風力発電も近年は山や海の近くに大きな風車が設置されることが増えましたが、個人で設置できる小型の風力発電も増えてきました。
そのほかにも、歩くと床がわずかにへこむことで電気を生む床発電や、工場の機械の振動を使った発電、小さな温度差を利用する熱発電などもあります。研究段階のものも含めると、電磁波ノイズを利用した発電や、雨粒のような微小エネルギーを利用した発電など、非常に多くの発電方式があります。
これらの方法は、エネルギーを作る場所を選ばず、小さな電気を効率よく作れるため、将来のスマート社会を支える技術として注目されています。
こちらの記事では、次世代の発電技術を紹介していますので、よろしければ参考にして下さい。
環境発電に取り組む企業・団体
画像引用：新電力ネット
日本や世界では、環境発電に力を入れている企業や研究機関がたくさんあります。たとえば、日本の大手電機メーカーであるパナソニックは、環境発電を使ったセンサーやIoT機器の開発に力を入れています。また、東京大学などの大学でも、次世代の発電技術の研究が進んでいます。
一方で、ベンチャー企業やスタートアップもユニークな技術を生み出しています。ある会社では、人が歩くエネルギーでスマートフォンを充電できる技術を開発中です。
さらに、公共の場所でも環境発電を活用する動きが進んでいて、駅の床や街灯などに使われることも増えています。このように、産学官が協力して、環境発電の技術を社会に広めようとしています。
最近の注目すべき取り組みとしては、ふくしま未来農業協同組合によるスマート農業の推進に環境発電を導入した例があります。業界で初めて、果樹の防霜対策に環境発電（エネルギーハーベスティング）を取り入れ、人的負担を大きく減らしています。
環境発電の将来性
画像引用：Pavegen
環境発電は、今後ますます重要になる技術だと考えられています。なぜなら、電池を使わずに動く機器が増えれば、ゴミも減り、メンテナンスも少なくなるからです。特にIoT（モノのインターネット）が広がるこれからの社会では、たくさんのセンサーが必要になり、それらを長く使うには電源の問題を解決する必要があります。
環境発電なら、設置した場所の自然な力で電気が作れるため、定期的な電池交換がいりません。これは山の中や遠くの場所にもセンサーを設置できるということです。
また、エネルギー問題や環境問題が深刻になる中で、クリーンで持続可能な電力の供給源としても期待されています。今はまだ技術が発展途上ですが、近い将来、環境発電が当たり前の社会が来るかもしれません。
まとめ
環境発電は、身の回りの自然の力を使って電気を作る、新しくて環境にやさしい技術です。太陽や風、振動、熱など、さまざまな方法があり、私たちの生活の中でどんどん活用されています。これからの社会に欠かせない存在になるかもしれませんね。
