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ノンファーム型接続とは?ファーム型接続との違いを初心者の方にもやさしく解説

ノンファーム型接続とは?ファーム型接続との違いを初心者の方にもやさしく解説 再生可能エネルギー
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ノンファーム型接続という言葉をご存じですか?「せっかく再エネ設備を作ったのに、送電網がいっぱいで繋げない……」というこれまでの大きな壁を打ち破る、革新的な仕組みです。

この記事では、さまざまなエネルギー問題の解決が期待されているノンファーム型接続について初心者の方にもやさしく解説します。

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ノンファーム型接続とは?

ノンファーム型接続とは?

画像出典:資源エネルギー庁

ノンファーム型接続は、これからの日本のエネルギーシフトを語る上で欠かせないキーワードです。まずはノンファーム型接続の概要を簡単に解説します。

送電網を「賢く使い切る」新しいルール

ノンファーム型接続とは、送電網(系統)の空き容量がある時に限り、発電した電気を流すことができる接続方式のことです。これまでは、たとえ実際に電気が流れていない時間帯であっても、あらかじめ「予約」された枠(ファーム型)で送電網が埋まって見えてしまい、新しい再エネ設備を接続できないという問題がありました。これを解消するために、空いている時間を有効活用しようという柔軟なルールが導入されました。

ファーム型接続との決定的な違い

従来の「ファーム型接続」は、いわば「指定席」です。常にその枠を確保しているため、どんな時でも優先的に電気を流せますが、空席のまま活用されない時間も多く、非効率でした。

対して「ノンファーム型接続」は「自由席」のようなイメージです。空いている時は自由に座れますが、混雑時には「譲る(出力を抑える)」ことが条件になります。この柔軟な運用により、巨額の費用と時間がかかる送電線の増強工事を待たず、スピーディに再生可能エネルギーを導入できるようになりました。

再生可能エネルギー導入の「加速装置」

ノンファーム型接続は日本の再生可能エネルギー拡大を加速させる切り札です。従来のルールでは、送電線の増強に10年以上の歳月と数千億円のコストがかかることも珍しくありませんでした。しかし、この仕組みによって「既存の設備を使い切る」という発想に転換したことで、多くの再エネ事業者が早期に市場参入できるようになり、日本のエネルギーミックスの最適化に大きく貢献しています。

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ノンファーム型接続はコスト削減につながる?

ノンファーム型接続はコスト削減につながる?

画像出典:資源エネルギー庁

ノンファーム型接続を導入することによって、発電するための燃料費などのコストを削減できると言われています。どのような仕組みでコスト削減できるのか見てみましょう。

燃料費の節約が電気料金の安定に寄与

ノンファーム型接続の普及は、社会全体の電力コスト削減に直結します。理由はシンプルで、太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、一度設備を作ってしまえば「燃料費がゼロ」だからです。ノンファーム型接続によってこれら再エネの接続量が増えれば、その分、高価な輸入化石燃料(LNGや石炭など)を使う火力発電の稼働を減らすことができ、国全体としての燃料調達コストを抑えることが可能になります。

送電網の増強コストを賢く回避

また、送電インフラの整備コストを抑制できる点も重要です。従来のように「ピーク時に合わせて送電線を太くする」という発想だけで進めると、その建設費用は最終的に「再エネ賦課金」や「託送料金」として私たちの電気代に跳ね返ってきます。ノンファーム型接続は、今ある送電網をソフトウェア的な制御で最大限に使い倒すため、無駄な大規模工事を減らし、インフラコストの膨張を防ぐ役割を果たしているのです。

発電事業者の初期投資ハードルを低減

さらに、発電事業者にとってもメリットがあります。これまでは送電網に空きがない場合、事業者が多額の「工事負担金」を支払って送電線を補強する必要がありました。ノンファーム型接続を選べば、こうした高額な負担を回避して接続できるケースが増えるため、新規参入のハードルが下がり、市場の競争が活性化して結果的に電力サービスの向上や価格の適正化につながるという好循環を生みます。

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ノンファーム型接続はCO2削減につながる?

ノンファーム型接続を導入することによって、発電する際に排出するCO2を削減できると言われています。どのような仕組みでCO2排出を削減できるのか見てみましょう。

火力発電の「出番」を直接的に減らす効果

ノンファーム型接続の導入によって再生可能エネルギーの接続容量が増えると、電力需要に対して「再エネ優先」で電気が供給される機会が増えます。再エネが発電している間は、二酸化炭素を排出する火力発電の出力を絞ることができるため、発電部門におけるCO2排出量を直接的かつ効果的に削減することが可能になります。ノンファーム型接続は、脱炭素社会の実現に向けた強力な武器です。

捨てられていたエネルギーを有効活用

これまでの仕組みでは「送電線の容量不足」という理由で、せっかくのクリーンなエネルギーが活用されず、接続自体を断念されるケースが多々ありました。ノンファーム型接続は、こうした「埋もれていた再エネポテンシャル」を掘り起こす効果があります。たとえ混雑時に出力制御が行われる可能性があるとしても、年間を通じたトータルの発電量で見れば、化石燃料による発電を代替する量は膨大であり、環境負荷の低減に大きく寄与します。

日本のカーボンニュートラル目標への貢献

政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」の達成には、再生可能エネルギーの主力電源化が不可欠です。ノンファーム型接続は、2021年から一部で始まり、2023年以降は全国の空き容量がない系統すべてへと対象が拡大されました。これにより、太陽光発電だけでなく風力発電などの大型案件も次々と系統に繋がっており、日本の電源構成(エネルギーミックス)をクリーンなものへと作り変える、まさに「血管のバイパス手術」のような役割を果たしているのです。

ノンファーム型接続の導入実績

東京電力パワーグリッドでの先駆的な取り組み

国内最大級の送電網を抱える東京電力パワーグリッド(TEPCO PG)では、早期からノンファーム型接続の適用が始まっています。特に千葉エリアなどの送電網が混雑している地域において、この方式を導入したことで、従来なら数年待たなければならなかった再エネ設備の接続がスムーズに行われるようになりました。最新の統計では、数千MW(メガワット)規模の接続申し込みがノンファーム型で処理されており、都市近郊での再エネ拡大を支えています。

参考:東京電力パワーグリッド公式サイト

東北電力・九州電力での再エネ主力化

風力発電の適地が多い東北電力や、太陽光発電が盛んな九州電力においても、ノンファーム型接続は欠かせない存在です。九州電力管内では、すでに太陽光の導入量が非常に多く、日中の余剰電力が課題となっていましたが、ノンファーム型によって「混雑時のみ制御する」という条件でさらなる新規接続を受け入れています。これにより、地域資源を活かした発電事業が継続され、地方創生とエネルギー自給率の向上を両立させる実績を積み上げています。

参考:九州電力送配電公式サイト

全国展開による接続容量の劇的改善

資源エネルギー庁の報告によれば、2023年4月より全国の全ての電圧クラスの系統でノンファーム型接続の受付が開始されました。これにより、日本全国の「空き容量ゼロ」とされていたエリアの多くで、実質的な受け入れ枠が確保されました。導入実績は着実に伸びており、現在では再エネの新規接続の多くがこの方式を選択しています。これは、技術的な制御手法が確立され、大手電力各社が運用ノウハウを蓄積してきた成果と言えるでしょう。

参考:資源エネルギー庁「エネこれ」

ノンファーム型接続が抱える課題

ノンファーム型接続が今後普及するための克服すべき課題は、おもに以下のとおりです。

出力制御の予見性と事業の安定性

ノンファーム型接続が今後普及するための最大の課題は、発電事業者の収益見通しが立てにくい点にあります。混雑時に「どの程度電気が止められるか(出力制御)」は、気象条件や他の発電所の稼働状況に左右されるため、正確な予測が困難です。出力制御が想定より頻繁に起きると、売電収入が減り、銀行からの融資が受けにくくなるリスクがあります。現在は、OCCTO(電力広域的運営推進機関)などが混雑予測を公開し、事業者のリスク判断を助ける仕組みづくりが進められています。

参考:OCCTO「2030年度の系統混雑に関する中長期見通し」

送電網運用の高度化とDXの必要性

送電網をリアルタイムで監視し、瞬時に出力を制御するためには、高度なシステム構築が欠かせません。数多くの分散型電源(小さな発電所)をきめ細かく制御するには、通信インフラの整備やAIを活用した需要・供給予測の精度向上が必須となります。大手電力会社は現在、これらのデジタル化(DX)に巨額の投資を行っていますが、全国どこでも安定して運用できるようになるには、技術的なブラッシュアップがまだ続いています。

公平なルールの確立と調整機能

将来的にノンファーム型接続の電源が増えすぎた場合、誰を優先して制御するかという「公平性」の議論も重要です。古いファーム型電源と新しいノンファーム型電源の間で、どのようにコストや痛みを分担するかというルール作りは現在も検討が続いています。また、電気が余った際に蓄電池へ貯める仕組みなど、出力を捨てるのではなく「調整」する技術の普及も、この制度をより有効に機能させるための重要な鍵となります。

蓄電池については、こちらの記事も参考にして下さい。

まとめ

ノンファーム型接続は、既存の送電網を「指定席」から「自由席」へと変えることで、再エネ導入を加速させる画期的な仕組みです。コスト削減やCO2排出抑制に大きなメリットがありますが、出力制御のリスク管理といった課題も残っています。しかし2026年現在、ノンファーム型接続は日本のエネルギーインフラのスタンダードとなりつつあり、私たちの未来を照らすクリーンな光を支えています。今後もノンファーム型接続がエネルギー問題の解決に貢献できるか注目していきましょう。

参考リンク:

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