太陽光発電

農地に太陽光発電を設置するための農地転用方法を徹底解説

農地に太陽光発電を設置するための農地転用方法を徹底解説 太陽光発電
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近年、農地への太陽光発電の設置が注目を集めています。おもに、農地から発電専用地にする場合と、農業を続けながら太陽光発電を設置する場合の2種類があります。この記事では、農地に太陽光発電を設置する際に必要な農地転用の手続きなどを解説します。

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農地に太陽光発電を設置するための農地転用とは?

農地で太陽光発電を始めるには、農地転用という手続きをしなければなりません。
農地転用とは、農地を農業以外の目的で使うために必要な許可をもらうことです。日本では、農地を勝手に他の用途に変えることはできません。これは、日本の農地を守り、安定した食料生産を続けて国民の食料を維持するために農地法という法律で決められていることです。

たとえば、畑や田んぼを駐車場や資材置き場として使いたい場合、その土地を雑種地(ざっしゅち)と呼ばれる別の用途の土地に変えるための許可が必要になります。太陽光発電を設置する場合も、同じように雑種地へ転用しなければなりません。つまり、農地に太陽光パネルを置いて発電するためには、まず行政の許可を得る必要があるのです。

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農地転用は、できる農地とできない農地がある!

実は、太陽光発電はどの農地にも設置できるわけではありません。農地転用が厳しく制限されている農業振興地域という地域があります。農業振興地域制度と農地転用許可制度の概要は、下表のように公開されているので参考にして下さい。

農業振興地域制度と農地転用許可制度の概要

引用:農林水産省

また、農地は国によっていくつかの種類に分類されており、農地転用が制限されている農地もあるのです。本項では、農業振興地域および農地の種類ごとに農地転用が可能かどうかを解説します。

農業振興地域

農業振興地域とは、国が農業生産を守るために農地の使い道を定めている地域のことです。この地域にある農地は、勝手に家を建てたり、駐車場にしたりすることができません。農業振興地域に指定されている農地は、基本的に農業以外の目的で使うことができない決まりになっています。

ゆえに、自身が所有する農地がどのような種類の土地なのかを調べることが大切です。どこで調べればよいかというと、住んでいる市町村の農業委員会農政室に相談すると、詳しく教えてもらえます。

親や祖父母から農地を受け継いだ場合も要注意です。相続した農地が農業振興地域である場合、農地の使い方を自由に変えられないことがあるからです。

まずは、自分の農地が農業振興地域に含まれているかどうかを確認しましょう。農地転用を考えている場合は、地域のルールに従う必要があるので、事前にしっかり調べることが大切です。

農地の種類

農地は国や自治体が定めたいくつかの種類に分類されており、農地転用できるかどうかは、どの種類に分類されているかによって変わります。農地転用が許可されるかどうかの基準は、下表のように定められています。

農地転用許可基準の概要

引用:農林水産省

かなり細かく分類されていることがお分かりいただけるのではないでしょうか。実際に農業に深く関わっている方でなければ、知らないケースが多いでしょう。これらの農地の種類は、自治体の農業委員会農政室などに問い合わせると確認できます。

農地の種類はおもに6つがあり、以下でそれぞれの種類ごとに農地転用できるかどうかを詳しく解説します。

農用地区域内農地

農用地区域内農地とは、都道府県知事が決めた「農業振興地域整備計画」の中で、農業を続けるために特に大切だと認められた土地のことです。この農地は、農業以外の目的で使うことが厳しく制限されており、家を建てたり、駐車場にしたりすることはできません。もちろん太陽光発電も同様です。農地転用は原則として禁止されているため、どんな理由があっても転用の許可をもらうのは非常に難しいです。

甲種農地

甲種農地とは、市街化が進んでいない地域にある、農業をするのに最適な土地のことです。土の質が良く、農作物を育てるのに適した環境が整っています。そのため、農用地区域内農地と同じように農地転用が禁止されており、住宅や工場、商業施設などはもちろん、太陽光発電を設置することもできません。農地としての価値が非常に高いため、日本の農業生産を維持する目的で守られている土地です。

第1種農地

第1種農地は、農業を続けるのに適した土地の中でも、特に大規模で効率的な農業ができる場所のことを指します。具体的には、以下のような農地が該当します。

  • 10ヘクタール以上のまとまった農地(広い土地で効率的な農業ができる)
  • 国や自治体からの農業関連の支援を受けている農地(農業公共投資の対象になっている)
  • 生産力が高く、多くの作物を収穫できる農地

このように、農業を続けることが強く推奨されているため、原則として農地転用は禁止されています。ただし、農業関連の施設(例えば、農作物を直接販売する直売所や、農機具を収納する倉庫など)を建てる場合は、例外的に転用が認められることがあります。

第2種農地

第2種農地とは、次のような特徴を持つ農地のことです。

  • 比較的小さな農地で、生産性があまり高くない
  • 国や自治体の農業投資の対象になっていない(農業の支援を受けていない土地)
  • 周りに住宅や商業施設が増え、将来的に市街地として発展する可能性がある

この農地では、代わりになる土地がない場合に限り、農地転用が認められることがあります。例えば、周囲がすでに住宅地になっていて、他に土地が確保できない場合には、住宅や商業施設を建てるために転用が許可されることがあります。ただし、手続きが必要であり、必ずしも自由に転用できるわけではありません。

第3種農地

第3種農地は、都市として発展している地域や、市街地にある農地のことです。例えば、すぐ近くに住宅や商業施設が建ち並んでいるような場所の農地がこれにあたります。すでに都市としての機能が整っているため、原則として農地転用が可能です。

このため、第3種農地に指定されている場合は、手続きを踏めば比較的スムーズに農地を住宅地や商業施設などに転用できるほか、太陽光発電も設置することができます。ただし、自治体ごとに決められたルールがあるため、事前に確認することが大切です。

生産緑地

生産緑地とは、都市の中にある農地のうち、計画的に保全する必要があると判断された土地のことです。都市部の環境を守るために、農地として維持することが求められています。

生産緑地は、特別な手続きを行えば農地転用が可能ですが、その前に「生産緑地の指定解除」という手続きをしなければなりません。この解除が認められるのは、以下のような場合です。

  • 生産緑地としての指定から30年が経過した場合
  • 農業を続けることが困難になった場合(例えば、農業をしていた人が高齢で引退するなど)

指定が解除されると、住宅地や商業地などに転用できるようになります。ただし、指定解除の申請は自治体の判断によるため、簡単に認められるわけではありません。

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農地転用をする場合に事前に確認しておきたいポイント

本項では、農地転用をする場合に、農地の種類の他に事前に確認しておくべきポイントを解説します。

農地に関連する各種の管理団体

農地には必ず農業用水里道(農道の一種)が関連しており、それぞれ管理する団体が存在しています。農地転用を行う場合には、農業用水(ため池を含む場合もあり)や里道を管理する団体から同意を得なければなりません。ゆえに、まずは関連する農業用水や里道を管理している団体を確認しましょう。

管理団体は、おもに土地改良区・水利組合・自治会等です。それぞれについて詳細を解説します。

土地改良区

土地改良区とは、農業をより効率的に行うために、農地の環境を整備することを目的とした農業者の団体です。本来は国や都道府県などの行政が行うはずの「土地改良事業」を、農業者の手で実施するために作られています。この団体は、都道府県知事の認可を受けた正式な組織であり、農地をより使いやすくするために、用水路の整備や土壌改良などを行っています。

土地改良区の区域内にある農地(受益地)を所有している農家は、自動的に土地改良区の組合員となります。つまり、土地改良区が管理している農地を持っている人は、その組織に参加する義務があるということです。このため、土地改良区のルールに従ったり、農地の管理について話し合いに参加したりする必要があります。

水利組合

水利組合とは、農業に必要な水を供給するための用水路やため池などを地域ごとに管理する団体のことです。農作物を育てるためには、安定して水を供給することがとても重要です。そこで、地域の農家や住民が協力して水の流れを管理し、農業用水を適切に利用できるようにするために、水利組合が作られました。

水利組合は、地域の農業を支えるために重要な役割を担っています。農地へ供給する水の管理だけではなく、水害を防止する活動も行います。水利組合が管理する水路を使って農業をする場合は、利用料を払ったり、維持管理のための作業に協力したりすることが求められます。

自治会等

自治会とは、特定の地域に住んでいる住民が集まって作る団体で、町内会や自治体組織のことを指します。地域の環境を守り、住みやすいまちづくりを進めるために活動しています。

農地がある地域では、自治会が農地の環境や利用状況についても関わることがあり、農地転用をする際には、自治会の同意が必要になることがあります。

太陽光発電に必要な設備

農地に太陽光発電の設置を検討する場合は、いくつかの設備が備わっているかどうかをあらかじめ確認しておく必要があります。おもに以下のような設備が必要です。

電柱

農地から50m以内に電柱が設置されていることが望ましく、ない場合は発電した電気を売電することができません。電柱がない場合は新たに設置しなければならず、費用がかかります。

ため池

太陽光発電設備を設置する際に、農地の形を変えたり、水路を埋めたりすると、雨水の流れが変わることがあります。特に、土の中に雨水がしみこみにくくなると、大雨が降ったときに周囲の農地へ水が流れ込み、作物に悪影響を与える可能性があります。

このような問題を防ぐために、一時的に雨水をためておく「ため池」を作ることが必要になる場合があります。特に、広い農地で太陽光発電を行う場合は、雨水の排水計画をしっかり考えないと、周囲の農地に迷惑をかけてしまうことがあるため、注意が必要です。

里道・水路

太陽光発電の設備を設置したい場所に里道や水路がある場合は、事前に確認することが重要です。里道とは、昔から地域の人が通るために使っていた細い道のことです。また、水路は農業用の水を流すために作られたもので、どちらも自治体や管理団体が所有していることが多いです。

こうした里道や水路が地面の中に埋まっていたり、農地と一体化していたりすることもあり、見た目では気づきにくい場合もあります。そのため、太陽光発電を設置する前に、これらが存在するかどうかを調べ、必要ならば自治体などから「払い下げ(買い取り)」の手続きをしなければなりません。

日照時間・天候・農地の向きなど

太陽光発電では、できるだけ多くの太陽光を受けて発電量を増やすことが重要です。効率よく発電するためには、事前に当該地域の日照時間や天候の統計を調査したり、農地の向きを確認することも不可欠です。

転用を検討している農地の面積

一般的に太陽光発電は、1,000㎡(約30m×30m)以上の広さがないと、発電による収益が十分に見込めないと言われています。そのため、もし土地が1,000㎡よりも小さい場合は、発電量が少なくなり、費用を回収できなくなる可能性があるので注意が必要です。

一方で、10,000㎡(1ヘクタール)以上の広い農地に太陽光発電を設置する場合は、都道府県や市町村と事前に話し合う必要があることがあります。この話し合いは、農地を太陽光発電用地に変更する前に行わなければならず、場合によっては住民説明会を開くことが求められることもあります。

また、自治体によっては事前協議が必要な面積を10,000㎡より小さく設定している場合もあるため、農地がある程度広い場合は、都道府県と市町村の両方に確認を取ることをおすすめします。そうすることで手続きがスムーズに進み、トラブルを防ぐことができます。

農地転用の手続きと必要書類

本項では、農地転用の手続きと必要書類を解説します。農地転用許可申請の手続きの概要は、下表のとおりです。30アールを超える農地を転用する場合は、より慎重な審査が行われます。

農地転用許可手続の概要

引用:農林水産省

ところで、農地転用にはおもに2種類あり、1つは農地所有者自身による農地転用で、もう1つは「第三者への権利移転を伴う農地転用」です。今回ご紹介するのは農地所有者自身による農地転用ですので、手続きの流れを以下で解説します。

農地転用の手続きの流れ

農地転用の手続きは、その農地がある市町村の農業委員会が窓口となり、そこで申請を受け付けています。

まず、申請者(農地の所有者や利用者)が必要書類を農業委員会に提出します。提出期限は自治体ごとに決められているので、事前に確認しておくことが大切です。

書類を提出すると、農業委員会が内容を確認したうえで、都道府県知事などの審査機関に送ります。この審査では、農地転用が適切かどうかが判断され、問題がなければ許可が出ます。審査が終わると、農業委員会を通じて申請者に許可の通知が届きます。審査期間は通常3カ月程度ですが、申請内容によってはそれより長くかかることもあります。

許可が下りたら、申請者は農業委員会の窓口で農地転用許可書を受け取ることで、正式に農地転用が認められます。

なお、市街化区域内の農地や生産緑地の場合は、許可ではなく届出だけで農地転用が可能です。この場合、必要な書類を農業委員会に提出すれば手続きが完了します。ただし、生産緑地の場合は少々手続きが異なるので、以下で解説します。

生産緑地の場合は指定解除が必要

もし所有している農地が生産緑地に指定されている場合は、農地転用の手続きを進める前に、事前に「生産緑地の指定解除」をしなければなりません。

生産緑地とは、都市の中にある農地のうち、「農業を続けるべき」として自治体が指定した土地のことです。そのため、この指定を解除しない限り、農地転用は認められません。生産緑地の指定解除ができるのは、以下のような条件を満たす場合です。

  • 生産緑地の指定期間が終了したとき(または特定生産緑地の指定期限が過ぎたとき)
  • 農業を続けていた人(主たる従事者)が亡くなったとき
  • 主たる従事者が病気やケガで農業を続けられなくなったとき

生産緑地の指定解除の手続きを進める際には、おもに3つの注意点があります。

1つ目は、生産緑地の指定解除は、近くの他の農地とまとめて解除される可能性があるため、指定されている範囲をよく確認しておくことです。

2つ目は、自治体ごとに細かな条件が異なるため、事前に農業委員会などに相談することです。

3つ目は期間ですが、指定解除の手続きには最低でも3カ月以上かかるため、計画を立てる際には時間に余裕をもって進めることが重要です。

必要書類一覧と詳細解説

農地転用の手続きを行うためには、以下のように多くの書類が必要です。

①農地転用申請書

農地転用の許可を申請するための基本となる書類で、申請者の情報・農地の所在地・転用後の用途などを記載します。自治体ごとに指定の様式があるため、窓口で確認する必要があります。

②転用理由書

なぜ農地を転用するのか、その目的や必要性を説明する書類です。例えば、「太陽光発電設備を設置するため」や「住宅を建てるため」といった理由を詳しく記載します。

③誓約書

申請者が農地転用に関して、法律や自治体の規則を遵守することを誓う書類です。自治体ごとにフォーマットが異なる場合があります。

④付近見取り図

転用する土地がどこにあるのかを示す地図です。周辺環境や道路、水路などの位置関係を分かりやすく示します。

⑤設置配置図

転用後に建物や施設をどの位置に設置するかを示した図面です。建物や太陽光パネルなどの配置計画が分かるように作成します。

⑥土地断面図

土地の高さや傾斜を示した図面です。特に、造成工事を伴う転用の場合に必要となります。

⑦排水計画図

転用後の土地の雨水排水や水路の流れを示す図面です。周囲の農地への影響を防ぐための計画が記載されます。

⑧地区担当農業委員への説明確認書

農地転用の内容を、農業委員会の担当者に事前に説明したことを証明する書類です。事前協議の際に求められることがあります。

⑨各課事前確認書

市町村の関連部署(農政課、建築課、環境課など)と事前に協議し、問題がないことを確認する書類です。各自治体によって提出の有無が異なります。

⑩開発不要証明書

農地転用において都市計画法に基づく開発許可が不要であることを証明する書類です。市町村の都市計画課などで発行されることが多いです。

⑪現況写真

現在の農地の状態を示す写真です。転用予定地の全体が分かるように撮影し、申請書類に添付します。

⑫隣地所有者同意書

転用予定地の隣にある土地の所有者からの同意を証明する書類です。隣地に影響がある場合に提出が求められます。

⑬関係土地改良区等意見書

転用する農地が土地改良区の管理下にある場合に、その意見を記載してもらう書類です。土地改良区に確認し、必要な手続きを行う必要があります。

⑭代替地検討資料(3種農地以外の場合)

第1種農地や第2種農地を転用する場合に、代わりの農地(代替地)がないことを示す書類です。農地の転用が必要不可欠であることを説明するために提出が求められることがあります。

⑮申請地の登記簿謄本

申請する農地が誰の所有であるかを証明する書類です。法務局で取得でき、転用する土地の最新情報が記載されています。

⑯公図

法務局で取得できる、土地の境界や形状を示す正式な地図です。登記簿と一緒に提出が求められることが多いです。

⑰印鑑証明書

申請者本人の印鑑が正式なもの(実印)であることを証明する書類です。市町村役場で取得できます。

⑱資金計画書

農地転用を進めるための資金計画を示す書類で、どのような費用が発生し、それをどのように調達するのかを説明します。

⑲工事見積書

建物や設備の設置、造成工事などにかかる費用を示した見積書です。業者に依頼し、具体的な工事内容と費用を明確にする必要があります。

⑳資金証明資料

申請者が転用に必要な資金を確保できることを証明する書類です。銀行の預金残高証明書や融資証明書などが該当します。

㉑その他、必要に応じた書類

自治体ごとに追加で求められる書類がある場合があります。事前に農業委員会などと相談し、必要な書類を確認することが重要です。

以上が農地転用に必要となるおもな書類ですが、個人が独力で申請することは難しいので、行政書士などに依頼することが望ましいでしょう。

営農型太陽光発電を行う場合の農地転用

営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)を行う場合にも、農地転用の許可申請が必要です。営農型太陽光発電では、農地に⽀柱を⽴てて上部空間に太陽光発電設備を設置しますが、この⽀柱の基礎部分について農地転⽤の許可申請が必要となります。

営農型太陽光発電設備の取扱いのおもな内容は、下表のとおりです。

営農型太陽光発電設備の取扱いのおもな内容

引用:農林水産省

表示されている内容をもとに、より分かりやすく解説します。

一時転用許可の要件

営農型太陽光発電を導入する際には、農地法に基づく一時転用許可を受ける必要があります。この許可を得るためには、以下の点がチェックされます。

一時転用期間の制限

一時転用の期間は原則3年以内ですが、特定の条件を満たす場合は10年以内の転用が認められます。10年の許可が認められるケースは次の通りです。

  • 認定農業者等の担い手が下部の農地で営農を行う場合
  • 荒廃農地を活用する場合(長期間耕作されていなかった農地の再生)
  • 第2種農地または第3種農地を活用する場合(比較的転用しやすい農地)

営農の適切な継続が確実であること

営農型太陽光発電では、下部の農地で農業を続けることが前提条件となります。営農の継続が適切に行われているかは、以下の基準で判断されます。

  • 実際に営農が行われていること(農作物が栽培されているか)
  • 生産された農作物の品質が著しく低下していないこと
  • 農地の活用状況が適切であること

具体的には、以下の基準を満たしている必要があります。

  • 通常の農地の場合:地域の平均的な単収(収穫量)と比較して、約2割以上減収しないこと
  • 荒廃農地を再生利用する場合:適正かつ効率的に利用されていること(農地の遊休化や捨作りをしないこと)

また、設備の設計にも次の点が求められます。

  • 農作物の生育に適した日照量を確保できる設計であること
  • 農業機械の効率的な利用が可能な高さ(最低地上高2m以上)が確保されていること
  • 周辺の農地の利用を妨げない適切な位置に設置されていること

一時転用許可の再許可について

一時転用許可を受けた営農型太陽光発電は、一定の条件を満たせば再許可が可能です。

再許可の際には、前回の転用期間における営農状況を十分に考慮し、総合的に判断されます。

自然災害や労働力不足など、やむを得ない事情で営農が適切に行えなかった場合は、その事情が考慮されることもあります。

ただし、営農が継続できない状態が長期間続いた場合、再許可が認められない可能性もあるため注意が必要です。

年1回の報告義務と営農状況のチェック

営農型太陽光発電では、毎年1回、農作物の生産状況を報告する義務があります。

報告の結果、農作物の生産に著しい支障が生じていると判断された場合は、設備の撤去が求められることがあります。

設備を撤去する際には、農地を元の状態に戻す必要があるため、事前に営農計画をしっかり立てることが重要です。

まとめ

農地転用して太陽光発電を設置する場合は、ご紹介してきたようにさまざまな条件と手続きが必要です。自治体ごとに規定が異なるため、窓口で十分な相談をするとともに、行政書士などの専門家へサポートを依頼するのがよいでしょう。

営農型太陽光発電は、農業と再生可能エネルギーを両立させる取り組みですが、農地としての機能を維持することが求められるため、厳格なルールが設けられています。

営農型太陽光発電を導入する際には、事前にしっかりと計画を立て、農業と発電の両立が可能であることを証明する必要があります。また、農地転用後も定期報告を適切に行うことで、長期間にわたって安定的な運用ができることを念頭に置いて取り組みましょう。

営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)の基礎知識については、こちらの記事も参考にして下さい。

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