日本のエネルギー政策において、最近よく耳にするプルサーマルという言葉。
「原子力発電の一種?」「リサイクルに関係があるの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、プルサーマルの仕組みから、なぜ日本で進められているのか、そして最新の稼働状況まで、専門用語を抑えて初心者の方にも分かりやすく解説します!
プルサーマルって何?

プルサーマルとは、簡単に言うと「使い終わった核燃料をリサイクルして、もう一度発電に使う仕組み」のことです。
名前の由来は、以下の2つの言葉を組み合わせた造語です。
- プル:プルトニウム(リサイクルで取り出した燃料)
- サーマル:サーマル・リアクター(現在日本で動いている一般的な「軽水炉」という発電所のこと)
通常の原発は「ウラン」を燃料にしますが、プルサーマルでは、使い終わった燃料から取り出した「プルトニウム」と「ウラン」を混ぜ合わせた「MOX(モックス)燃料」を使用します。
なぜプルサーマルが必要なの?(3つのメリット)
日本がプルサーマルを推進しているのには、主に3つの理由があります。
① 資源を大切に使える(エネルギー自給率の向上)
日本はエネルギー資源のほとんどを輸入に頼っています。一度使った燃料をリサイクルすることで、限られたウラン資源を効率よく使うことができ、エネルギーの安定供給につながります。
② ゴミの量を減らせる
発電後に出る「使用済み燃料」をそのまま捨てるのではなく、再利用できるものを取り出すことで、最終的に処分しなければならない高レベル放射性廃棄物の量や有害度を減らすことができます。
③ 「持たないプルトニウム」の原則
日本は、核兵器に転用可能なプルトニウムを「利用目的がない限り持たない」という国際的な約束をしています。リサイクルして燃料として燃やすことは、プルトニウムの在庫を適切に管理・削減するためにも重要です。
日本の現状と最新情報(2026年1月時点)
2026年1月現在、日本政府や電気事業連合会はプルサーマルの導入をさらに進める方針を打ち出しています。
現在の稼働状況
現在、日本でプルサーマルを実施している(または実施可能な)原発は以下の通りです。
- 伊方発電所3号機(四国電力・愛媛県)
- 玄海発電所3号機(九州電力・佐賀県)
- 高浜発電所3号機・4号機(関西電力・福井県)
今後の目標
政府と電力各社は、「2030年度までに少なくとも12基」でのプルサーマル実施を目指しています。2025年2月には、電気事業連合会から最新の「プルトニウム利用計画」が公表され、六ヶ所再処理工場(青森県)の稼働を見据えた具体的な取り組みが進められています。
安全性は大丈夫?
「新しい燃料を使うのは怖くないの?」と感じる方もいるかもしれません。
プルサーマルで使われるMOX燃料は、通常のウラン燃料と性質が少し異なりますが、日本の原子力規制委員会による厳格な審査をクリアしています。
- 制御のしやすさ:原子炉を止めるための「制御棒」がしっかり効くように設計・調整されています。
- 実績:フランスやドイツなどの海外では、数十年以上前から当たり前のように行われている実績のある技術です。
プルサーマルの課題
プルサーマルはエネルギー不足問題の解消を期待されていますが、以下のような課題も抱えています。
- 再処理工場完成の延期:エネルギー効率も安全性も高い最新型のプルサーマルを活用するために、再処理工場の建設が進められていますが、青森県の六ヶ所再処理工場の完成は延期され続けています。六ヶ所再処理工場の完成目標は「2026年度中(2027年3月まで)」ですが、これは何度も延期された27回目の目標で、新規制基準への審査対応の長期化などが背景にあり、安全性を高めるための対応が続いています。
- 国民からの信頼の獲得:プルサーマルは放射性物質を再利用するため、安全性に対して疑問を抱いている国民は少なくありません。信頼の獲得のためには、再処理工場を建設する地域の住民に対してはもちろん、国民全体に対して丁寧で継続的な説明が必要になるでしょう。
日本の原子力発電の現況については、こちらの記事も参考にして下さい。
まとめ
プルサーマルは、資源の少ない日本にとって「エネルギーのリサイクル」を実現する重要な鍵です。
一方で、燃料を作るための再処理工場の完成延期や、国民・立地自治体への丁寧な説明など、クリアすべき課題もまだ残されています。私たちが毎日使う電気の裏側で、こうした資源循環の試みが続いていることを知っておくのはとても大切なことです。
暮らしに直結する問題なので、今後も引き続き注目していきましょう。
参考資料:


