太陽光発電を盗難などの犯罪から守る方法をやさしく解説

太陽光発電を盗難などの犯罪から守る方法をやさしく解説 太陽光発電
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太陽光発電施設を管理されている方々、日々本当にお疲れ様です。昨今、全国各地で太陽光発電所を狙った盗難事件のニュースを頻繁に目にするようになり、施設を守る立場として強い不安や頭痛の種を抱えていらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、太陽光発電に対する犯罪の最新の傾向や、被害に遭った場合のリスク、そして施設を守るための具体的な防犯対策と予算の目安について、初心者の方にもわかりやすく丁寧にお伝えします。ぜひ最後までお読みいただき、お悩みの解決にお役立てください。

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太陽光発電で発生する犯罪は?

太陽光発電所の管理をされている方にとって、せっかく順調に稼働している施設が犯罪のターゲットになってしまうのは、本当に悩ましく理不尽な問題ですよね。実はここ数年、太陽光発電施設を狙った犯罪が全国的に急増しており、多くの事業者様が頭を抱えているのが現状です。ここではまず、太陽光発電の現場で具体的にどのような犯罪が発生しているのか、その概要について整理してお伝えします。敵の手口を知り、被害の実態を正確に把握することが、効果的な対策を打つための第一歩となります。

銅線ケーブルの盗難被害

太陽光発電施設において現在最も頻繁に発生しており、業界全体で深刻な社会問題となっているのが「銅線ケーブルの盗難」です。

これほどまでに送電用のケーブルが狙われる最大の要因は、世界的な規模での「銅」の価格高騰にあります。近年の国際的な需要増により、銅の取引価格は過去10数年で2.5倍以上に跳ね上がっており、転売目的の窃盗グループにとって「ただ置いてある現金」のように見えてしまっているのです。加えて、太陽光発電所は日当たりを確保するために郊外や山間部など人目につきにくい場所に設置されることが多く、さらに夜間は発電を停止しているため感電のリスクも低いことから、犯行を容易にさせてしまう条件が揃っています。

実際に発生している被害状況を見ると、発電所の周囲に張り巡らされた送電用の太いケーブルが根元から専用の工具で切断され、数百メートル単位でごっそりと持ち去られるケースが後を絶ちません。複数人のグループが深夜にトラックなどで乗り付け、組織的かつ短時間のうちに犯行を完遂する手口が数多く報告されています。警察庁のデータでも、金属ケーブルの窃盗は特定の地域にとどまらず全国的な広がりを見せており、外国人グループが関与するケースも多発しています。

このように、高値で取引される銅線ケーブルは窃盗犯にとって最大の標的となっており、施設管理者としては真っ先に警戒し、対策を講じるべき最もリスクの高い犯罪であると言えます。

参考情報:警察庁「金属盗対策に関する検討会 報告書」

太陽光パネルやパワーコンディショナの盗難

太陽光発電施設において、ケーブル盗難に次いで警戒を強めなければならないのが、太陽光パネル本体やパワーコンディショナ(パワコン)といった、発電に欠かせない主要設備の盗難です。

これらの設備は太陽光発電所のいわば心臓部であり、それ自体が非常に高価な精密機器です。近年はインターネットオークションや中古品の買取市場が発達したことにより、出所不明の太陽光発電関連部品であっても比較的容易に売買・換金できるようになりました。そのため、これらの機器を取り外して転売し、不正に利益を得ようとする犯罪者が存在します。特に、比較的小規模な施設や、フェンスなどの物理的なセキュリティ対策が不十分な施設では、機器を固定しているボルトや架台を外してそのまま持ち去られてしまうリスクが高まります。

具体的な被害の例として、フェンスが低く容易に侵入できる施設において、夜間に犯行グループがトラックで侵入し、数十枚もの太陽光パネルを手際よく取り外してごっそりと盗んでいったという事件が発生しています。また、直流電力を交流に変換する高価なパワコンについても、重い筐体ごとトラックに積み込んで持ち去られるケースや、手口が巧妙な場合は内部に組み込まれている高価な電子基板だけを素早く抜き取って逃走するといった事例も報告されています。

ケーブルばかりに目が行きがちですが、発電事業の根幹をなす重要機器そのものも転売目的の標的になっているという事実を認識し、設備全体をいかに強固に守り抜くかという総合的な視点が不可欠です。

参考情報:資源エネルギー庁「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)」

パワーコンディショナーについては、こちらの記事も参考にして下さい。

不法投棄や施設へのいたずら

直接的な転売目的の窃盗被害ではありませんが、太陽光発電施設およびその周辺へのゴミの不法投棄や、設備に対する悪質ないたずらも、頻発している迷惑な犯罪行為の一つです。

太陽光発電所は、十分な日当たりと広大な面積を確保するために、市街地から遠く離れた山林の切り拓き地や、人通りの少ない休耕地などに建設されるケースが少なくありません。こうした場所は、夜間になると極端に周囲の目がなくなり、監視の目も届きにくくなるため、不法投棄を行おうとする者にとって非常に好都合な隠れ蓑となってしまいます。また、防犯対策が手薄で「誰も管理していない」ように見える施設は、投石などのいたずらや、パネルへの落書き被害に遭うリスクも飛躍的に高まってしまいます。

実際に現場で起きている被害としては、発電所のフェンスのすぐ脇や敷地内に、処理費用のかかる大型家電や建築廃材、古タイヤなどが大量に捨てられる事件が報告されています。不法投棄された巨大なゴミは、景観を著しく損ねるだけでなく、太陽光パネルに影を落として発電効率を低下させる原因にもなります。さらに、パネルに向かって石が投げられて強化ガラス面が割られたりする被害は、直接的な出力低下や雨水浸入による故障を招きます。

窃盗被害のような大規模な報道になりにくいため見落とされがちですが、不法投棄やいたずらもまた、ゴミの撤去費用やパネルの修繕費用を発生させ、事業の収益性を圧迫する無視できない問題です。

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太陽光発電で発生した犯罪の事例

では、実際にどのような事件が日本の現場で起きているのでしょうか。ここでは、最近5年間(2021年〜2026年)に各地で実際に発生した太陽光発電の犯罪事例を詳しく見ていきましょう。具体的な手口や被害の規模を知ることで、自社の施設にどのようなリスクが潜んでいるのかを具体的にイメージしやすくなるはずです。残念ながら、犯罪の手口は私たちが想像する以上に年々巧妙化・組織化しています。

太陽光発電の銅線ケーブル窃盗を多く含む「金属盗」全体の認知件数について、警察庁が以下のように公式な統計を発表しています。2020年(令和2年)からの5年間で、実際に約3.7倍強へと急増しています。

  • 2020年(令和2年): 5,478件
  • 2021年(令和3年): 7,534件
  • 2022年(令和4年): 10,368件
  • 2023年(令和5年): 16,276件
  • 2024年(令和6年): 20,701件

【出典】

警察庁「金属盗対策に関する検討会 報告書」

警察庁「第1回 金属盗対策に関する検討会 資料」および関連統計

関東地方を中心とした大規模なケーブル盗難事件

近年、茨城県や群馬県、栃木県などをはじめとする北関東エリアを中心に、目を疑うような大規模なケーブル盗難事件が相次いで発生し、社会問題化しています。

警察庁が公表している統計データ(令和5年および令和6年上半期)によると、全国で発生している金属盗難の認知件数のうち、実に8割〜9割近くが関東地方に集中しているという異常な事態が起きています。これは、関東近郊にメガソーラーなど広大な敷地を持つ太陽光発電施設が多数点在していることに加え、盗んだ金属を「身分証なし」で換金しやすい非正規の金属買取業者が同エリアに多数存在していることが大きな要因とされています。また、摘発された犯行グループの多くに外国人(カンボジア人、ベトナム人、タイ人など)が含まれており、彼らがSNS等を通じて離合集散しながら組織的に犯行を繰り返している実態が明らかになっています。

2024年初頭に群馬県で発生した事件を例に挙げると、前年比で6倍以上という急激なペースで被害が報告されました。深夜、複数台のワゴン車やトラックで発電所に乗り付けた数十人規模の犯行グループが、油圧カッターなどの専用工具を用いて太い送電用銅線ケーブルを次々と切断し、手際よくトラックに積み込んで逃走しました。被害額は1件あたり数百万円から、規模によっては数千万円に上るケースもあり、地域全体のインフラが犯罪の標的にされているような深刻な状況に陥りました。

特定のエリアに狙いを定め、買取ルートまで確保した上で組織的かつ大規模に動く窃盗グループが存在し、甚大な被害をもたらしているのが昨今の犯罪の大きな特徴です。

参考情報:警察庁「令和5年における組織犯罪の情勢等に関する資料」(前述の「金属盗対策に関する検討会 報告書」等に準拠)

山間部のメガソーラーでの連続被害事例

人里離れた山間部に設置されたメガソーラー(大規模太陽光発電所)が、短期間のうちに連続して、何度も同じような被害に遭う事例も目立ってきています。

山間部に位置する施設は、主要な幹線道路から奥まった場所にあり、夜間は街灯も一切なく完全に闇に包まれます。周囲に民家がないため、重機でフェンスを壊したり電動カッターで金属を切断したりする大きな音を出しても、近隣住民に通報されるリスクが極めて低いのです。この環境は、犯罪者にとって非常に好都合な条件が揃っています。さらに恐ろしいことに、一度侵入に成功してケーブルを盗み出した施設は、犯行グループの間で「警備が甘く、簡単に金になる場所」として情報が共有・売買されるため、事業者が高い費用をかけて復旧した直後に、再び別のグループによって同じ場所が狙われるという悪循環に陥りやすいのです。

2025年に奈良県や山梨県の山間部で報告された連続被害の事例では、施設に防犯カメラが設置されていたにもかかわらず、犯行を防ぐことができませんでした。犯人は事前にカメラの死角を念入りに下見しており、覆面や目出し帽で顔を完全に隠した上で侵入しました。数百メートルに及ぶケーブルがごっそりと引き抜かれ、管理者が監視システムの異常や売電の停止に気づいて翌日の午後に駆けつけた頃には、犯人は既に遠方へ逃走していました。中には、監視カメラの配線自体を先に切断して証拠隠滅を図ってから、本命の送電ケーブルを盗むという手慣れた手口の事例も報告されています。

被害の規模はさまざまですが、2026年2月に滋賀県の山間部で発生した銅線盗難事件では、なんと4.3キロメートル分にもわたる長さの銅線が盗まれたケースもあります。山間部という立地条件そのものが最大の弱点となってしまっており、単なる物理的な柵だけではプロの窃盗団による連続被害を防ぎきれないという厳しい現実が浮き彫りになっています。

参考情報:奈良県警察本部「金属盗難防止のために」

盗難に伴う周辺設備の深刻な破壊・破損事例

窃盗被害においてさらに管理者を悩ませる恐ろしい点は、単に金属ケーブルや機器が盗まれるだけでなく、犯行の過程で周辺の重要な設備が徹底的に破壊されてしまうケースが多いことです。

犯行グループの頭にあるのは「いかに短時間で、効率よく目的のものを持ち去るか」ということだけであり、他人の施設を丁寧に扱うことなど一切ありません。侵入時には、施錠された強固なゲートの南京錠を大型のクリッパーで切断したり、フェンスそのものをトラックの車体で強引に押し倒したりして道を作ります。また、地中に埋められたケーブルや保護管に収められた配線を無理やり引き抜こうとするため、ケーブルが接続されている高価なパワーコンディショナの端子台や分電盤ごと、力任せに引きちぎられ破壊されてしまうことが多いのです。

ある滋賀県で発生した事例では、転売目的で太い銅線ケーブルを引き抜こうとした犯人が、ケーブルが頑丈に接続されていたパワーコンディショナの筐体をバールのような工具で叩き割り、内部の精密な電子基板までめちゃくちゃに破壊して逃走しました。結果として、盗まれた銅線の被害額は数十万円程度であったにもかかわらず、破壊された複数台のパワーコンディショナの全交換費用や、なぎ倒されたフェンスの修理費用が数百万円規模に膨れ上がり、はるかに高くついてしまいました。さらに、強引な切断により配線がショートし、火花が散って火災が発生する一歩手前だったという危険な事例すらあります。

窃盗犯による乱暴で無計画な犯行手口は、施設全体に修復困難な物理的ダメージを与え、事業者の被害総額を雪だるま式に増大させてしまう非常に厄介な要因となっています。

参考情報:太陽光発電協会(JPEA)「太陽光発電のケーブル盗難削減に向けて」

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太陽光発電が犯罪の被害に遭った場合の影響は?

施設が被害に遭ってしまった場合、単に「物が盗まれた」という事実以上に、事業そのものを揺るがす深刻なダメージを受けることになります。ここでは、太陽光発電が犯罪の被害に遭った場合に、管理者やオーナー様が受ける具体的な影響について、正確な理由やデータに基づき詳しく解説します。これを知れば、防犯対策がいかに「投資」として重要かがお分かりいただけるはずです。

発電停止による売電収入の損失と復旧費用の増大

ケーブルや重要機器が盗難・破壊された場合、まず直面する最大の痛手は、発電所の機能が完全に停止することによる「売電収入の喪失」と、「莫大な復旧費用の発生」です。

太陽光発電は、日照がある限り電気を生み出し利益をもたらすビジネスモデルですが、送電ケーブルが一本でも切断されれば、発電した電気を系統(電力会社)に送ることができず、その瞬間に売電収入はゼロになります。さらに深刻なのは、被害を受けてから復旧するまでに非常に長い期間を要するという点です。現在、盗難被害の急増により代替のケーブルや部材が全国的に品薄となっており、電気工事士の手配も困難を極めています。そのため、被害に遭ってから設備が完全に元通りになり、売電が再開できるまでに数ヶ月から半年近くかかるケースも珍しくありません。

例えば、毎月50万円の売電収入がある中規模の発電所が被害に遭い、復旧までに3ヶ月かかったとします。この場合、150万円の売電収入が完全に失われます。さらに、盗まれたケーブルの再調達、破壊されたパワコンやフェンスの交換、そして高騰している電気工事の人件費などを合わせると、復旧にかかる直接的な費用は数百万円単位に上ります。ローンを組んで施設を建設している事業者にとっては、売電収入が途絶える中で高額な復旧費用と毎月の返済だけがのしかかるという、まさに二重苦、三重苦の経営危機に直面することになります。

設備の被害額だけでなく、長期間の発電停止による「機会損失」と「工期の遅れによるコスト増」が事業計画を大きく狂わせるため、事前の防犯対策で被害を未然に防ぐことが何よりも重要なのです。

損害保険の適用外や保険料・免責金額の大幅な上昇

これまで多くの事業者は「万が一盗難に遭っても、動産総合保険などの損害保険に入っているから大丈夫」と考えていましたが、現在その常識は完全に崩れ去り、保険に関する影響が非常に深刻化しています。

2023年から2024年にかけてケーブル盗難が異常なペースで急増した結果、損害保険会社が支払う保険金の額が莫大に膨れ上がり、保険商品としての持続的な運営が困難な状況に陥りました。この事態を受け、大手保険会社は2024年以降、太陽光発電向けの保険引受け条件を大幅に見直しました。具体的には、新規の保険契約では「盗難による被害は原則として補償対象外(不担保)」とする厳しい措置が取られ始めています。また、既存の契約の更新時においても、保険料が数倍に跳ね上がったり、自己負担額である「免責金額」が大幅に引き上げられたりしています。

以前であれば、盗難被害に遭っても免責金額が10万円程度で済んでいたものが、現在では「免責金額70万円〜100万円」といった高いハードルが設定されるケースが一般化しています。つまり、被害額が100万円未満の場合は保険金が一切支払われず、全額を事業者が自腹で負担しなければならないのです。さらに、一度でも盗難被害に遭って保険金を請求した履歴のある発電所は、「防犯体制に問題があり再発リスクが高い」とみなされ、次年度の保険更新を拒否されたり、法外な保険料を提示されたりする事例も報告されています。

「保険があるから安心」という時代は終わりを告げており、事業者自身が堅牢な防犯体制を構築して「保険会社から引受けを認めてもらえるような優良な施設」にしなければならないという、厳しい現実に直面しています。

発電所の資産価値低下と地域社会への影響

犯罪被害は、目に見える金銭的損失だけでなく、目に見えない「発電所そのものの資産価値の低下」や、「周辺の地域社会への悪影響」という形でも重くのしかかってきます。

太陽光発電所は、20年間の固定価格買取制度(FIT)に基づく安定した投資物件として、中古市場(セカンダリー市場)で活発に売買されています。しかし、投資家や買い手にとって、過去に窃盗被害や不法投棄の標的にされた履歴のある発電所は、「セキュリティ上の重大な欠陥がある」「反社会的な集団に目をつけられている可能性がある」とみなされるため、極めてリスクの高い物件と評価されます。その結果、将来的に施設を売却しようとした際に、相場よりも大幅に価格を買い叩かれたり、最悪の場合は買い手が全く見つからなかったりする事態に陥ります。

また、頻繁に不審な車両が出入りし、警察の現場検証が行われるような発電所は、近隣住民に強い不安と恐怖を与えます。「次は自分の家が狙われるのではないか」「治安が悪化する」という懸念から、施設管理者への不信感が高まり、地域との深刻なトラブルに発展するケースも少なくありません。さらに、設備の破壊に伴う漏電や火災のリスクは、地域の安全そのものを脅かします。国や自治体も、適切な管理がなされていない施設に対しては指導を強化する方針を打ち出しています。

防犯対策を怠ることは、単に自社の利益を損なうだけでなく、施設の長期的な資産価値を著しく毀損し、地域社会との共生という再生可能エネルギー事業の大前提をも崩してしまう危険性をはらんでいるのです。

参考情報:経済産業省「太陽光発電システムを長期に安心・安全に運用するJPEAの活動」

太陽光発電を犯罪から守る方法は?

ここからが本記事の本題となります。これだけリスクの高い犯罪から、大切な施設をどうやって守ればよいのでしょうか。太陽光発電を犯罪から守るためには、「物理的に侵入させない」「狙う気を失わせる」「万が一の際に即座に対応する」という複数のアプローチを組み合わせることが非常に重要です。ここでは、具体的な防犯対策の方法を、初心者の方にも分かりやすく丁寧に解説します。

物理的な侵入防止対策の徹底

太陽光発電の防犯対策の最も基本であり、大前提となるのが、犯行グループを敷地内に一歩も入れさせないための「物理的な侵入防止対策の徹底」です。

窃盗犯は、ターゲットを下見する際に「いかに簡単に侵入でき、いかに素早く逃走できるか」を最重要視しています。したがって、侵入に時間と手間がかかると判断させることが最大の抑止力となります。経済産業省のガイドラインでも、関係者以外の立ち入りを防ぐための適切な柵や塀の設置が義務付けられていますが、単に「囲ってあるだけ」の簡易的なフェンスでは、プロの窃盗団の前では全く無意味です。物理的な障壁を強化し、侵入にかかる「タイムロス」を意図的に作り出すことが求められます。

具体的な対策としては、まずフェンスの高さと強度を見直すことです。容易に乗り越えられないよう、最低でも高さ2メートル以上の強固な金属製フェンスを設置することが推奨されます。さらに、フェンスの上部には「忍び返し」や「有刺鉄線」を張り巡らせることで、乗り越えようとする犯人に直接的な物理的ダメージのリスクを負わせることができます。また、犯行車両が出入りするゲート部分の施錠にも注意が必要です。一般的な南京錠はクリッパーで簡単に切断されてしまうため、切断工具の刃が入らないように設計された「プロテクター付きの防犯南京錠」や、強靭な「チェーンロック」を複数組み合わせることで、開錠までの時間を大幅に長引かせることが効果的です。

「ここに入るのは面倒だ」「時間がかかって捕まるリスクが高い」と犯人に思わせるような、見た目にも威圧感のある物理的な防御陣地を築くことが、すべての防犯対策の土台となります。

監視カメラとセンサーライトによる威嚇・記録

物理的な防御に加えて、「常に見られている」という心理的なプレッシャーを与え、証拠を確実に残すための「監視カメラとセンサーライトの設置」は非常に強力な防犯手法です。

窃盗犯が最も恐れるのは、自分たちの顔や車のナンバー、犯行の様子が記録され、警察に逮捕されることです。暗闇に紛れて犯行に及ぼうとする彼らにとって、突然の強烈な光や、自分たちを追いかけるカメラの存在は大きな脅威となります。また、万が一被害に遭ってしまった場合でも、高画質な録画データが残っていれば、警察の捜査がスムーズに進み、犯人逮捕や被害品の回収につながる確率が飛躍的に高まります。

効果的な具体例として、近年主流となっているのはAI(人工知能)を搭載した高性能な防犯カメラです。従来のカメラのように風で揺れる木の枝や小動物に反応するのではなく、AIが「人間の姿」や「車両」だけを正確に検知して録画を開始します。さらに、夜間の真っ暗闇でも鮮明なフルカラー映像を記録できる赤外線センサー付きのモデルを選ぶことが重要です。これと連動して、敷地内に侵入者が足を踏み入れた瞬間に、強烈なLEDフラッシュ光を浴びせる「人感センサーライト」や、「警察に通報します」といった警告音声を大音量で鳴らすスピーカーを組み合わせることで、犯行を未然に断念させる強い威嚇効果を発揮します。

単にカメラを置くだけでなく、光と音を組み合わせた「能動的な威嚇システム」を構築することで、施設を窃盗犯から遠ざける強力なシールドとして機能させることができます。

ケーブル自体の盗難防止と代替素材の活用

敷地内への侵入対策と並行して行うべきなのが、窃盗犯の最大のターゲットである「ケーブルそのもの」を盗みにくくする工夫や、狙われない素材への変更といった対策です。

いくらフェンスやカメラで守りを固めても、犯行グループが強行突破してくるリスクはゼロではありません。そこで、万が一侵入されてしまった場合でも「目的のものを持ち出せない」あるいは「そもそも盗む価値がない」状況を作り出すことが重要です。特に近年、銅の価格高騰を逆手に取った根本的な対策として、ケーブルの素材そのものを見直す動きが業界内で急速に広がっています。

具体的な対策の第一は、露出している配線をなくすことです。送電ケーブルを簡単に引っ張り出せないように、ケーブルを専用の保護管に収めて地中深く(数十センチ以上)に埋設したり、地上に這わせる場合は配線ラックごとコンクリートでガチガチに固めてしまうといった方法があります。これにより、切断作業や引き抜き作業を極めて困難にします。第二の、そして近年非常に注目されている対策が「アルミケーブルへの代替」です。銅線ケーブルを、銅の約4分の1程度の取引価格しかないアルミ製のケーブルに変更するのです。アルミケーブルは転売してもほとんどお金にならないため、犯行グループにとっては全く魅力がありません。施設のフェンスに「当施設はアルミケーブルを使用しています」という警告看板を大きく掲示するだけで、ターゲットから外されるという絶大な効果を発揮します。

ターゲットそのものを物理的に強固に守るか、あるいは価値のないものに置き換えるという発想の転換が、執拗な窃盗犯から設備を守り抜くための非常に有効な手段となります。

警備会社との連携および遠隔監視システムの導入

防犯対策の総仕上げとして、異常事態が発生した際にただちに状況を把握し、プロに対応を任せるための「遠隔監視システムの導入」「警備会社との連携」が挙げられます。

太陽光発電所は無人施設であるため、どれだけ立派な防犯設備を整えても、異常が起きた時に誰も駆けつけなければ、犯人は時間をかけて目的を果たしてしまいます。そこで、インターネット回線を活用して管理者のスマートフォンやパソコンから24時間いつでも現地の様子を確認できるシステムと、異常を検知した際に警備員が急行する体制を組み合わせることが、最も確実で隙のない防犯体制となります。

具体的なシステム構成としては、発電設備そのものの異常(売電の急な停止や電圧の低下など)を知らせる「遠隔監視装置」と、防犯カメラの映像をクラウド上で管理するシステムを連動させます。これにより、例えば深夜にケーブルが切断されて発電システムにエラーが出た瞬間、管理者のスマホにアラート通知が届き、リアルタイムの映像で犯行の様子を確認できます。そして、事前に契約を結んでいるアルソックやセコムなどの大手警備会社にシステムを接続しておけば、センサーの異常発報と同時にプロの警備員が現場へ緊急発進し、同時に警察への通報も行ってくれます。

遠隔からの常時監視と、いざという時のプロによる駆けつけサービスを導入することで、「完全な無人施設」から「24時間見守られている施設」へと生まれ変わり、事業者自身の精神的な負担を劇的に軽減することができます。

太陽光発電の犯罪対策にかかる費用は?

ここまで太陽光発電の様々な防犯対策をご紹介してきましたが、管理者様にとって最も気になるのは「実際にどれくらいの予算が必要なのか」という点ですよね。防犯対策は施設を守るための重要な投資ですが、事業の収益とのバランスを考える必要があります。ここでは、公式な情報や専門業者の相場をもとに、対策ごとの費用について詳しく解説し、最後に一覧表としてまとめます。

物理的対策(フェンス・ケーブル埋設など)の費用相場

太陽光発電の敷地を囲うフェンスや、ケーブルを地中に埋設するなどの物理的な防御工事にかかる費用は、施設の面積(外周の長さ)や地形によって大きく変動します。

フェンスの設置費用は、一般的に「1メートルあたりいくら」という単位で計算されます。経済産業省の基準を満たすような、高さ2メートル以上の頑丈なスチール製メッシュフェンスを新たに設置する場合、部材費と基礎工事・施工費を合わせて、概ね1メートルあたり数千円から1万5千円程度が相場となります。例えば、外周が200メートルの施設であれば、総額で100万円〜300万円程度の予算を見込んでおく必要があります。これに加えて、有刺鉄線や忍び返しを追加する場合は、さらに費用が上乗せされます。

また、ケーブルの盗難を物理的に防ぐための「地中埋設工事」「コンクリート固定工事」は、重機を用いた掘削作業やコンクリートの打設作業が必要となるため、大掛かりなものになります。既存の施設で後からこれらの工事を行う場合、ケーブルの長さや配線ルートの複雑さにもよりますが、数十万円から、規模によっては200万円を超える費用がかかるケースもあります。ただし、一度しっかりとした物理的対策を施してしまえば、その後のランニングコストはほとんどかからないというメリットがあります。

初期費用はある程度まとまった金額になりますが、被害に遭った際の数百万円の復旧費用と長期間の売電停止リスクを考えれば、十分に回収可能な「保険」としての意味合いを持つ投資と言えます。

監視機器(カメラ・センサーなど)の導入・運用費用

防犯カメラやセンサーライトといった電子的な監視機器の費用は、導入する機器の性能(画質やAI機能の有無)と、設置する台数によって幅があります。

まず初期の設置工事費用についてですが、一般的な屋外用の赤外線防犯カメラを設置する場合、カメラ本体と録画装置(レコーダー)、そして電源や通信ケーブルの配線工事を含めて、カメラ1台あたり数万円〜十数万円程度が目安となります。広大なメガソーラーなどで敷地全体をカバーするために複数台(例えば4〜8台)設置する場合は、全体のシステム費用として数十万円から150万円程度かかることもあります。特に最新の「AI搭載による人物検知機能」や「夜間フルカラー撮影機能」を備えたハイエンドモデルを選ぶと、機器代金は高くなります。

一方で、センサーライト単体であれば、1台あたり数千円〜3万円程度と比較的安価に導入できます。ただし、これらの電子機器は初期費用だけでなく、運用費(ランニングコスト)も考慮する必要があります。カメラの映像を遠隔で確認するためのインターネット回線利用料(モバイルルーター等の通信費)として月額数千円、またクラウドサーバーに録画データを保存するサービスを利用する場合は月額数千円〜1万円程度の維持費が毎月発生します。

防犯カメラシステムは、初期の設置費用と毎月の通信・データ保管費用を総合的に計算し、自社の施設規模に見合った最適なプランを専門業者と相談しながら選定することが大切です。

警備サービスや遠隔監視のランニングコスト

アルソックやセコムなどの大手警備会社と契約し、24時間体制の監視と異常時の駆けつけサービスを利用する場合の費用は、主に毎月のランニングコスト(月額料金)として発生します。

警備会社との契約費用は、施設の広さ、設置するセンサーの数、そして提供されるサービス内容(監視のみか、駆けつけサービスを含むか等)によって細かく設定されています。一般的な太陽光発電施設向けの機械警備プラン(侵入センサーの設置+異常発報時の警備員駆けつけ)を利用する場合、初期の機器設置費用(数十万円程度)とは別に、月額で概ね2万円〜5万円程度の委託費用がかかるのが相場です。規模が大きく、より高度な制御装置や多数の防犯回線を導入するメガソーラークラスになると、月額10万円以上の費用が発生することもあります。

また、警備会社を利用せず、自社で遠隔監視システムだけを導入する場合でも、機器の保守点検費用やシステムの利用料が発生します。例えば、異常時にスマートフォンに通知が来るだけのシンプルなシステムであれば、月額1万円〜2万円程度で運用できるパッケージプランを提供している防犯設備業者も多数存在します。

毎月の固定費が増えることにはなりますが、プロの警備員が駆けつけてくれるという安心感や、犯罪発生時の迅速な初動対応による被害の最小化効果を考慮すれば、非常にコストパフォーマンスの高い選択肢と言えます。

以下に、太陽光発電施設におけるおもな防犯対策ごとの費用相場を一覧表にまとめました。予算計画の参考にしてください。

防犯対策の名称対策の概要・内容費用の目安・相場
強固なフェンスの設置高さ2m以上、メッシュフェンス等による物理的防御1メートルあたり 数千円〜1.5万円
(施設全体で数十万円〜数百万円)
ケーブルの地中埋設・固定ケーブルを管に収め地中へ埋設、またはコンクリート固定初期工事費:数十万円〜200万円以上
(規模による)
防犯カメラシステムの設置AI検知、夜間撮影対応カメラ、録画装置の導入初期費用:数十万円〜150万円程度
通信・クラウド維持費:月額数千円〜
センサーライトの設置侵入者を検知して強力な光で威嚇する照明装置1台あたり 数千円〜3万円程度
警備会社との契約・連携センサーによる24時間監視と警備員の現場駆けつけ初期費用:別途見積もり
月額委託費:2万円〜数万円程度
遠隔監視システムの導入スマホ・PCでの映像確認、異常時のアラート通知導入費:数十万円〜
月額システム利用料:1万円〜2万円程度
アルミケーブルへの代替銅線から転売価値の低いアルミ製ケーブルへの交換施設規模による(新設時は比較的安価、既存施設の交換は要見積もり)

まとめ

太陽光発電所を狙う犯罪の最新の実態と、その影響の恐ろしさ、そして施設を守るための具体的な方法と費用についてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

「うちは大丈夫だろう」という油断は、組織化された窃盗グループの格好の標的になってしまいます。被害に遭ってから莫大な復旧費用と売電損失に泣く前に、強固なフェンス、AI防犯カメラ、そしてアルミケーブルの採用や警備会社との連携など、複数の対策を組み合わせて「狙われない環境」を作り上げることが何よりも大切です。ぜひこの記事を参考に、大切な発電所を守るための防犯対策を見直してみてください。

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