デマンドレスポンスをご存じですか?近年の厳しい電力事情の中で、電力の需給の安定化につながり、私たちが安心して暮らせるようになることが期待されている新しいシステムです。
この記事では、デマンドレスポンスについて2026年の最新事情を交えて初心者の方にもやさしく解説します。
デマンドレスポンスとは?

画像出典:資源エネルギー庁
一人ひとりが「電気の賢い使い方」を心がけるだけで、日本の未来がもっと明るくなるかもしれません。2026年に入り、私たちの生活に欠かせないエネルギーの世界では、日々大きな変化が起きています。
一見難しそうなデマンドレスポンスですが、実は私たちのスマホ一台、エアコン一台から始められる、とっても身近でおトクな仕組みなんです。
需要と供給の「バランス」を整える賢い仕組み
デマンドレスポンス(またはディマンド・リスポンス:DR)を一言で言うと、「使う電気の量を、電気の供給状況に合わせて調整すること」です。これまでは「使う量に合わせて発電する」のが当たり前でしたが、DRはその逆。電気を賢く調整して、みんなで電力不足や無駄を防ぐ新しい工夫なのです。
供給に合わせて「使う側」が動く新時代
従来の日本の電力システムは、私たちが電気を使う分だけ、電力会社が発電所を稼働させて供給を維持してきました。しかし、太陽光などの再生可能エネルギーは天候に左右されやすく、発電量を自由にコントロールできません。そこで、供給が多い時には使い、少ない時には控えるといった「需要(使う側)」の調整が必要になったのです。
「下げDR」と「上げDR」の2つの形

画像出典:資源エネルギー庁
DRには大きく分けて、電気の使用を控える「下げDR」と、あえて使用を増やす「上げDR」があります。夏の暑い日に節電して報酬を得るのが「下げDR」、逆に太陽光発電が余っている昼間に蓄電池へ充電したり洗濯機を回したりするのが「上げDR」です。2026年現在、この「上げDR」が再エネを捨てずに使い切る手法として、特に注目を集めています。
デマンドレスポンスのメリット
デマンドレスポンスにはどのようなメリットがあるのか見てみましょう。
毎月の電気代が節約でき、報酬ももらえる
デマンドレスポンスに参加する最大のメリットは、家計へのプラス還元です。電力会社の要請に応じて節電や利用時間のシフトを行うと、ポイントが付与されたり、電気料金が割引されたりします。ただ我慢する「節電」とは違い、協力した分だけ「報酬」として返ってくるのがデマンドレスポンスの大きな魅力です。
停電を防ぎ、日本の電力安定に貢献できる
もしデマンドレスポンスがない世界では、電力の「需要」が「供給」を上回った瞬間に、大規模な停電(ブラックアウト)が発生する恐れがあります。私たちはデマンドレスポンスを通じて、発電所からの電力供給に頼りすぎることなく、街の明かりを守ることができます。自分の小さな行動が、日本全体のエネルギーインフラを支えるという社会的価値につながるのです。
再生可能エネルギーを無駄なく使い切れる
これまでは、太陽光パネルで発電しすぎた電気は、行き場を失うと捨てられていました(出力制御)。しかしデマンドレスポンスが普及すれば、電気が余っている時間にみんなが使うことで、貴重な再生可能エネルギーを有効活用できます。脱炭素社会を目指す皆さんにとっては、最も手軽で効果的な環境貢献の一つと言えるでしょう。
デマンドレスポンスの導入事例
デマンドレスポンス(DR)が実際に導入されている事例を紹介します。
スマートフォンアプリを活用した家庭向けDR
現在、多くの大手電力会社や新電力が、スマホアプリを通じたDRサービスを提供しています。例えば、関西電力の「DRプロジェクト」や東京電力のサービスでは、翌日の供給予報に基づき、節電チャンスがプッシュ通知で届きます。ユーザーはアプリ内のボタン一つで参加を表明し、自動でポイントが貯まる仕組みが定着しています。
スマートリモコン「Nature Remo」による自動制御
最新の事例では、IoT機器を活用した「自動DR」が進んでいます。スマートリモコンの「Nature Remo」などは、電力会社と連携して、電力需給が厳しい時間帯にエアコンの温度を自動で数度調整するサービスを展開しています。ユーザーは意識することなく、快適さを保ちながらDRに参加し、報酬を受け取ることが可能です。
EV(電気自動車)を「動く蓄電池」として活用
2026年、V2H(Vehicle to Home)の普及により、EVをDRのリソースとする事例が急増しています。昼間の安価な再エネをEVに充電し、供給が厳しい夕方から夜にかけてはEVの電気を家庭で使う、あるいはネットワーク経由で電力網に戻す「VPP(仮想発電所)」への参加が、都市部の若年層を中心に広がっています。
V2Hについては、こちらの記事も参考にして下さい。
デマンドレスポンスの課題
デマンドレスポンス(DR)には多くのメリットがある一方で、克服すべき課題も残されています。
参加に伴うIoT機器の導入コスト
DRを最大限に活用するには、スマートメーターやHEMS(ヘムス:Home Energy Management System、電気使用量の「見える化」と機器の「自動制御」を行うシステム)、蓄電池といった機器の導入が理想的ですが、これには初期費用がかかります。誰でも気軽に参加できる環境を整えるためには、こうしたデバイスの低価格化や、国や自治体によるさらなる補助金制度の充実が求められています。
アグリゲーターの役割と複雑な仕組みの解消
DRでは「アグリゲーター」と呼ばれる中継事業者が、家庭や企業の電力をまとめて制御していますが、その仕組みはまだ一般には複雑に見えがちです。解決策として、2026年4月からは小規模な家庭のリソースも需給調整市場に参加しやすくなる制度改革が進んでおり、今後はより透明性の高い、分かりやすい契約プランの登場が期待されています。
消費者の意識向上とインセンティブの最適化
「DRって面倒そう」というイメージを払拭することが普及の鍵です。現在、ゲーム感覚で参加できるUI/UXの改善や、SDGsへの貢献を可視化するアプリの開発が進んでいます。単なる金銭的メリットだけでなく、「楽しさ」や「達成感」を感じられる仕組みづくりが、特に若年層の参加を促す解決策となります。
デマンドレスポンスの将来像は?
デマンドレスポンス(DR)が、これからの時代でどのような貢献をしていくのか、どのような技術の導入が期待されているのかを解説します。
2026年4月、電力市場の大変革が始まる
2026年4月から、日本の「需給調整市場」が低圧リソース(家庭用蓄電池やEV)にも本格的に開放されます。これにより、これまでは企業が中心だった電力の調整役として、一般家庭が「電気の売り手」として市場に参加できるようになります。まさに、国民全員がエネルギーの主役になる時代の幕開けです。
AIが自動で最適化する「ストレスフリーDR」
将来は、AIが個人の生活スタイルを学習し、最もおトクで快適なタイミングで家電を自動制御する「完全自動DR」が当たり前になります。私たちは「節電しなきゃ」と意識することなく、勝手に再エネを使い、勝手に電気代が下がる未来へと向かっています。これは政府が推進する「GX(グリーントランスフォーメーション)」の核となる動きです。
GXについては、こちらの記事も参考にして下さい。
分散型エネルギー社会の実現へ
大規模な発電所に依存するのではなく、各家庭の太陽光やEV、地域の蓄電池を網の目のようにつなぐ「分散型社会」がDRの最終形です。災害時でも地域で電力を融通し合える、レジリエンス(復元力)の高い日本。DRはその未来を作るための、最も重要なピースとして位置づけられています。
まとめ
デマンドレスポンス(DR)は、単なる節電のお願いではなく、私たちが再生可能エネルギーを賢く使い、おトクに社会貢献できる画期的なシステムです。2026年、市場の開放とともにその可能性は一気に広がります。まずは電力会社のアプリをチェックすることから、新しいエネルギーライフを始めてみませんか?
参考リンク



