近年、各地に風力発電設備が建設されていますが、「自宅の敷地に風力発電を設置できないだろうか?」とお考えの方もいるでしょう。
実際に、初心者が個人で自宅に風力発電を設置することはできるのでしょうか。
結論から言うと、設置することは可能です。
この記事では、風力発電を自宅に設置するために必要な情報を、メリットとデメリットから順に、電気が苦手な方や初心者の方にも分かりやすく解説します。
小型風力発電のメリット
近年、持続可能なエネルギー源への関心が高まる中、小型風力発電が注目を集めています。家庭や小規模施設に適したこの技術は、環境への負荷が少ないだけでなく、経済的にも多くの利点を提供します。本項では、小型風力発電の持つメリットを明らかにし、それぞれの点を詳しく解説します。
環境にやさしい
小型風力発電は、風を動力源とする再生可能エネルギーの一つです。化石燃料を使わないため、CO2の排出を削減し、地球温暖化の進行を遅らせることに貢献します。このエネルギー源は無限に近く、また再生可能であるため、環境にやさしい選択肢と言えます。例えば、風力発電を導入した地域では、化石燃料に依存することなく、クリーンなエネルギーを利用することが可能になります。
電気料金の節約になる
適切な風が吹く地域に小型風力発電を導入することで、長期的に見て電気料金の節約が期待できます。風力発電機は、一度設置すれば風を無料でエネルギー源として利用できるため、運用コストが大幅に削減されます。たとえば、風が安定して吹く地域では、毎月の電気代を大きく下げることができる可能性があります。
自家発電ができる
電力会社からの供給に頼らず、自宅や事業所で自家発電が可能になります。これにより、電力供給の不安定さや価格変動の影響を受けにくくなります。特に、電力網から離れた場所に住んでいる場合や、電力供給が不安定な地域では、安定した電力供給源として大きなメリットがあります。
非常用電源になる
自然災害などによる停電時でも、小型風力発電は非常用電源として機能します。これにより、災害発生時でも最低限の電力需要を賄うことができ、暗闇での生活や冷蔵庫などの家電製品が使えないという事態を避けられます。例えば、地震や台風などで広範囲にわたって電力供給が途絶えた際も、小型風力発電機があれば、ライトや通信機器の充電など、基本的な電力需要に応えることが可能です。
自治体から補助金を受給できる
小型風力発電の導入にあたり、一部の自治体では補助金や税制優遇措置を受けられる場合があります。これにより、初期投資費用の負担が軽減され、導入へのハードルが低くなります。例えば、補助金制度を利用することで、設置費用の一部をカバーできるため、個人や小規模事業者でも導入しやすくなります。
小型風力発電のデメリット
小型風力発電は再生可能エネルギーの導入として魅力的な選択肢ですが、導入前にはそのデメリットも正確に理解しておくことが重要です。本項では、小型風力発電のデメリットについて1つずつ解説します。
初期費用がかかる
小型風力発電を導入するには、機器の購入費用のほかに設置費用がかかります。これは、特に小規模な施設や個人の家庭にとって、大きな負担となることがあります。風力発電機のサイズや種類にもよりますが、設置には数百万円単位の初期投資が必要になる場合が多いです。この高額な初期投資は、多くの人々が風力発電を導入する際の大きな障壁となっています。
安定した発電は難しい
風力発電の効率は、風の強さや一貫性に大きく依存しています。しかし、風は常に一定ではなく、特に都市部や地形が複雑な地域では、安定した風を確保することが難しい場合があります。風が吹かない日が続くと、発電量が大きく低下し、必要な電力を供給できなくなる可能性があります。これにより、風力発電だけに依存することのリスクが高まります。
安定した発電が難しいという欠点を補ってくれる存在が、蓄電池です。風の強い日に集中的に発電して電力を蓄電池に貯めておき、無風の日にその電力を使用するという活用方法がおすすめです。普段から蓄電池に電気を貯めておけば、停電時にも安心して電気を使用できます。
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騒音が近所迷惑になる
風力発電機は、風車が回転する際に一定の騒音を発生させます。この騒音は、特に住宅地域で問題となることがあり、近隣住民からの苦情につながる可能性があります。風力発電機の大きさや設置場所、風の強さによって騒音のレベルは異なりますが、静かな環境を求める人にとっては、快適性を損なう要因となることがあります。
定期的なメンテナンスが必要
小型風力発電機は、長期間にわたって効率的に動作させるために、定期的な点検やメンテナンスが必要です。これには、部品の交換や潤滑油の補充、風車の清掃などが含まれます。これらのメンテナンス作業は、追加の時間や費用がかかります。特に、高所に設置された風車のメンテナンスは、専門の技術や機材が必要となり、その費用は予想以上に高額になることがあります。
以上のデメリットを理解した上で、小型風力発電の導入を検討することが重要です。これらの課題に対処し、適切な計画と準備を行うことで、小型風力発電から得られるメリットを最大限に活かすことができるでしょう。
初心者でもできる個人向けの風力発電とは
風力発電を初心者の方が個人で利用したい方には、出力1kW程度の小型風力発電がおすすめです。
元々は企業や公的機関向けとして開発されたモデルがほとんどですが、個人住宅にも設置できる程度の大きさのものもあり、その代表的なモデルがゼファー社の「エアドルフィン」です。
引用:ゼファー公式サイト
美しい流線形のフォルムに3枚のブレードを備え、ブレードは1枚380gという徹底した軽量化がなされています。
ロータ直径が1,800mmで、個人住宅でも場所を選べば設置できる大きさです。
ただし、実際に風力発電を設置するには、いくつかの問題をクリアしなければなりません。
その問題とはおもに、法律による規制・収益性・ご近所への配慮・メンテナンス性などです。
以下で、それぞれを順に解説します。
風力発電の法規制は?
自宅の敷地に風力発電を設置する際には、以下のような法律が関係してきます。
・建築基準法(支柱が15mを超える場合は確認申請が必要)
・消防法(発電設備を不燃材で作成する必要がある)
・電気事業法(20kW未満の一般用電気工作物に規制あり)
・騒音規制法(時間帯によってそれぞれ規制あり)
このうち電気事業法に関しては、一般住宅に設置可能な風力発電は20kW未満がほとんどなため、「技術基準適合・維持義務」「報告徴収」「立入検査」の3つが適用されます。
参考:経済産業省公式サイト
また、一般的な住宅では適用されることはまずありませんが、高さ60m以上の場所に風力発電のプロペラを設置する場合には航空法が適用されます。
その他、お住まいの自治体ごとに条例による規制が行われている場合があるので、設置前に確認しておくとよいでしょう。
20kWの風力発電を設置するには届け出は必要ありませんが、自治体や地域の理解を得ておくことが賢明です。
風力発電で売電できる?
個人の風力発電で電力を売却できるのかは、気になるところでしょう。
結論から言うと、一般住宅に設置した風力発電で収益を上げることは困難です。
国内メーカーの代表的な小型風力発電である「エアドルフィン」を例に見てみましょう。
「エアドルフィン」は現在3種類が販売されており、出力は1~1.26kWとなっています。
すでに多くの民間企業や公共施設で利用されており、一般住宅にも設置可能なサイズです。
ちなみに、他社製品でも一般住宅に設置できそうな風力発電は、その多くが出力1~1.5kWです。
では「エアドルフィン」を設置して、どのくらいの発電量が見込まれるのでしょうか。
ゼファー公式サイトによると、「エアドルフィン」の基準年間発電量は1,260kWと公開されています。
そして、FIT制度における2021年度の電力買取価格は、小型風力発電の場合「17円+税」です。
ゆえに、故障などの大きなトラブルがなく一年間稼働できれば、およそ23,000円の利益が得られることになります。
「エアドルフィン」シリーズの価格は1,575,000円~(税込)なので、元を取るには68年以上かかる計算です。
風力発電を売電用として設置するには、もう少し規模の大きな設備が必要で、かつ設置場所の風の強さなども考慮しなければなりません。
ゆえに、風力発電を一般住宅に設置するならば、補助的な電源として利用することがふさわしいでしょう。
ちなみにゼファー社では、一般的な住宅には設置が難しいものの基準出力4.7kWとやや大型の風力発電「Zephyr9000」も販売しています。
参考:ゼファー公式サイト
風力発電は近所迷惑?
強風により高速で回転する風力発電は、独特の音を発しますが、近所迷惑にはならないのでしょうか?
結論から言うと、一般住宅に設置する規模の風力発電であれば、風切り音が少し気になる程度でしょう。
ただし、騒音とはまた別に、低周波による被害も考慮しなければなりません。
低周波の感じ方は個々人の感覚によるところが大きく、場合によっては「健康被害を受けた」と主張される可能性があります。
風力発電のメンテナンス性を考慮しよう
風力発電は昼夜問わず稼働するため、定期的なメンテナンスが必要です。
そのため、メンテナンス性の良さを考慮して設置するとよいでしょう。
高い場所に設置することが多いので、しっかりした梯子を支柱に設置しておけば、メンテナンスのときに便利です。
メンテナンスに高所作業車を使用する場合でも、車両が進入できる場所に風力発電を設置しておきましょう。
【まとめ】初心者の方も風力発電に挑戦しよう
風力発電は、まだ太陽光発電のように初心者が気軽に設置できる状況ではありませんが、太陽光発電にはない魅力もあります。
自宅の敷地内に設置すれば、オーナーの環境意識の高さに対して一目置かれるかもしれません。
この機会に、初心者の方も小型風力発電の設置を検討してみてはいかがでしょうか。
また、風力発電は天候に大きく左右されるので、安定した発電は難しいため、発電した電力を蓄電池に貯めておくことが理想的です。
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