2022年から、太陽光発電の廃棄費用の積立が義務化されたことはご存知でしょうか?
将来廃棄することになったときのために、あらかじめ制度の基本を理解し、積立費用がどのくらいかかるのかを把握しておくと安心です。
この記事では、太陽光発電の廃棄費用積立の義務化について、初心者の方にも分かりやすく解説しています。
太陽光発電の廃棄費用の積立が義務化
2022年7月から、太陽光発電の廃棄費用を積立することが義務化されました。
経済産業省が実施する「太陽光発電設備の廃棄等費⽤積⽴制度」という制度です。
積立義務の対象となるのは、「FIT・FIP制度を利用している10kW以上の太陽光発電設備」なので、事業用として運営されている太陽光発電が対象になります。
一般的な個人住宅の太陽光発電は、規模的にほとんどが対象外になるでしょう。
これから売電目的で野立て太陽光発電を運営する方や、工場などで自家消費が主目的でも余剰電力を売電する場合は、積立義務の対象になる可能性があるので注意しましょう。
近い将来に太陽光発電の大量廃棄が見込まれる
太陽光発電の将来的な大量廃棄に関する問題は、世界中で議論されています。
太陽光発電は、地球温暖化の影響で脱炭素化が奨励されたことや、2011年に発生した東日本大震災がきっかけで、年々必要性が高まってきました。
翌2012年にはFIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)が開始されたことにより、国内の太陽光発電が急速に普及。
太陽電池モジュールの寿命は一般的に25~30年と言われているので、近い将来、大量の太陽電池モジュールが一気に寿命を迎えます。
環境省が発表したデータによると、2030年代後半あたりから順に廃棄のピークが訪れ、最終処分場の処理能力を超えてしまう可能性があると予想されています。
下表は、近い将来の使用済み太陽光パネルの排出見込み量です。
引用:環境省「太陽光発電設備等のリユース・リサイクル・適正処分に関する報告書」
太陽光発電の廃棄費用積立の概要
太陽光発電の廃棄費用の積立制度では、金額・時期・頻度などが定められており、全体像
は下表のようにまとめられています。
引用:資源エネルギー庁「太陽光発電設備の廃棄等費用積立制度について」
廃棄等費用積立制度の概要について、要点をそれぞれ解説します。
積立の対象者
廃棄費用の積立が義務となる対象者は、10kW以上の事業用太陽光発電を運営する事業者と、この事業者との間で特定契約を締結する電気事業者(買取義務者)です。
積立金額
積立金額は、経済産業省によって規定された「積立基準額」に「売電量」を掛け合わせた数値になります。
積立基準額はFITの認定を受けた年度のほか、設備の出力、入札の対象・非対称でも違ってくるので、自身の設備がどの区分に該当するか確認しましょう。
資源エネルギー庁が作成した「廃棄等費用積立ガイドライン」によると、解体等の積立基準額は下表のように規定されています。
このように、FITの認定を受けた年度などによって金額が違ってきますが、積立金額の目安は、売電して得た収入の約5%です。
積立する時期
積立の義務が生じる期間は、FITの調達期間またはFIPの交付期間の終了前10年間です。
例えば、2013年にFITの認定を受けた太陽光発電は、2023年の同月日に積立が開始されます。
積立の頻度
積立が行われる頻度は、毎月1回です。
毎月の検針日ごとに積立が実施されますが、積立金額は、検針日前の1ヶ月で売電によって得た収入によります。
積立の方法
太陽光発電の廃棄費用の積立は、電気事業法に基いて設立された機関の「電力広域的運営推進機関」(OCCTO)に預ける形で行います。
積立金の管理
積立金は「電力広域的運営推進機関」に外部積立する形で売電収入から徴収され、同機関によって厳重に管理されます。
太陽光発電は廃棄費用の積立が義務です
これからの太陽光発電は、環境保護のために廃棄するときのことも考えて運用していくことがスタンダードになってきます。
新たに事業用として太陽光発電を導入する予定の方は、運用資金に積立金が含まれることも必ず念頭に置いておきましょう。
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