基礎知識新エネルギー風力発電

風力発電について初心者の方にもやさしくメリットなどを解説

風力発電基礎知識
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風力発電が初心者の方にとって分からないことが多いのは、なかなか間近で目にする機会がないということも理由の1つでしょう。

この記事では、初心者の方に分かりやすいように「風力発電とは何?」ということから、メリットとデメリット、さらに日本の風力発電の最新情報もお伝えしています。

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風力発電とは?

風力発電とは、風の力でタービンを回転させて電力を得る発電方式です。

人類は古くから帆船や風車などを使用するなど、風の力をエネルギー源として生活に応用してきました。

風力発電にも、その長い歴史によるノウハウが活かされています。

欧米では早くも19世紀末には風力発電が実用化されていました。

日本では、1949年に札幌で山田基博が本格的に風力発電設備を設立したのが始まりとされています。

1970年代には、オイルショックをきっかけに風力発電の研究・開発が盛んになりましたが、石油の供給が安定化すると下火になってしまいました。

そして近年の地球温暖化により、再び風力発電が注目され始めたのです。

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風力発電のメリット

風力発電には、おもに次のようなメリットがあります。

  • CO2排出量の削減につながる
  • 発電のための燃料を必要としない
  • 経済的に発電できる
  • 発電効率が高い
  • メカニズム的なメリットが多い

以下で、それぞれを順に解説します。

CO2排出量の削減につながる

風力発電は発電時にCO2を排出しないクリーンなエネルギーです。

風力発電は風さえ吹けば昼夜を問わず発電できるので、日中しか発電できない太陽光発電よりも重要な電源となるポテンシャルを秘めています。

世界的にカーボンニュートラルの達成を目指していることもあり、風力発電の需要はますます向上するでしょう。

発電のための燃料を必要としない

風力発電は自然界の風をエネルギー源としているので、燃料を必要としません。

単純に燃料費がかからないことがメリットなのはもちろん、日本のように燃料を輸入に大きく依存している国にとっては、燃料費の高騰の影響を受けないことは絶大なメリットです。

将来的に、エネルギーの自給率を向上させることに貢献できる可能性があります。

経済的に発電できる

風力発電は発電コストが安く、火力発電とほぼ同等なため、商用電源として導入しやすいことがメリットです。

発電設備の建設にかかる工期が短いこともあり、今後ますます設置数が増えていくことが予想されています。

また、発電設備の一つひとつが独立しており、事故時の被害を最小限に抑えられるメリットもあります。

発電効率が高い

風力発電は、再生可能エネルギーの中でも特に発電効率が高いことが特徴です。

最も発電効率が高い水力発電は約80%もありますが、風力発電はそれに次ぐ約40%の発電効率を記録しています。

理論的には約60%まで向上すると言われており、今後の技術向上が期待されています。

メカニズム的なメリットが多い

風力発電は、メカニズム的なメリットも多いのが特徴です。

燃料を必要としないため、構造が比較的簡単で、修理やメンテナンスにあまり時間がかかりません。

タービンが著しく高温にはならないので、冷却水も不要です。

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風力発電のデメリット

風力発電には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットもあり、比較的実用化が遅れている原因となっています。

風力発電には、おもに次のようなデメリットがあります。

  • 建設コストが高い
  • 自然災害に弱い
  • 電力供給が不安定
  • 周辺の環境への影響

以下で、それぞれを順に解説します。

建設コストが高い

風力発電は、発電にかかるコストが安い反面、建設費は高止まりの状況です。

これは、風車の材料の多くを輸入に頼っていることが影響しています。

また、風力発電は設置する場所によって採算性が大きく影響を受けるので、建設コストの見通しを立てにくいデメリットもあり、設置場所選びは非常に重要です。

自然災害に弱い

風力発電は自然現象のエネルギーをそのまま電力に変換する設備なので、常に厳しい気候にさらされており、どうしても自然災害の被害を受けやすくなります。

特に日本は台風が多く、必要以上の風が吹くと風車が大きなダメージを受けます。

その他にも、高さがあるため落雷の危険性があることや、地震による停止にも対応しなければなりません。

電力供給が不安定

風力発電は風の状況によって発電量が決まるため、安定した電力供給は困難です。

風の強さによって供給電力が変わるため、発電の出力や力率が安定せず、常に他の系統との連携によって電力供給を調整する必要があります。

強風が続き過ぎると、電力供給が過剰になってしまうこともあるのです。

周辺の環境への影響

一般的に風力発電は民家から離れた場所にありますが、それでも大型の風車からは独特の風切り音や低周波が発生し、騒音被害が報告されています。

また、風車に鳥が巻き込まれる事故が多く、生態系への影響も問題点です。

そのため近年では、野鳥たちが巻き込まれないように、羽根のない風力発電「マグナス式風力発電」の研究・開発が進められています。

参考:NEDO

日本の風力発電の現状

2022年6月時点での日本の風力発電は2,605基あり、設備容量は合計4,691MWにのぼります。

この数値は、一般的な原発の4.5基分にあたります。

新規の導入数は、下表のように推移しています。

出典:日本風力発電協会

日本の風力発電は、欧米諸国と比べるとやや遅れをとっています。

これは、日本が自然災害の多い国であるため、建設には高い技術とコストが必要であることが影響しています。

風力発電の将来性は?

風力発電について日本政府は2001年に、2010年までに風力発電の設備容量を300万kWにすることを目標としました。

しかし、その目標を達成できたのは2015年にずれ込みました。

これに危機感を抱き、政府は今後、洋上風力発電の開発に力を入れる方針を打ち出しています。

業界団体と連携し、洋上風力発電の設備容量を2030年までに10GW、2040年までには30~40GWを目指すことを発表しました。

日本は四方を海に囲まれており、洋上風力発電のポテンシャルは以前から期待されていましたが、技術やコストの差で欧米に遅れを取ってきました。

洋上風力発電は陸上に比べて制約を受けにくいため、電源として大きな期待が寄せられています。

洋上風力発電については、こちらの記事で詳しく解説しています。

将来性豊かな風力発電

風力発電は、再生可能エネルギーとしてはこれまで太陽光発電の陰に隠れてきました。

しかし近年の技術向上により、大型の発電設備が数多く導入されています。

特に洋上風力発電は大きな期待を受けており、私たちの暮らしにも大きな恩恵をもたらしてくれる日が来るかもしれません。

また、野鳥の巻き込み事故を防ぐために、マグナス式風力発電の普及にも期待したいところです。

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